マイク1本、ギター1本、カメラ1台。格闘する様に完成したMOROHA「其ノ灯、暮ラシ」特別インタビュー(4/4)

2017.6.15 20:00

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MOROHA

—ツアーがはじまる前に、宮地さんとどんな打合せをしましたか?

アフロ:俺はどちらかというとライブを軸にして、そのまわりの日々という想定だったんですけど、真逆になりましたね。UKが、それはつまんないから軸をドキュメントにして、MOROHAのライブがそこに差し込まれていくというのがいいよねと言ったんです。

UK:宮地さんの強みってドキュメントの部分だと思うんです。ライブDVDはいつでも撮れるので、ドキュメントってその時、曲とかは変わらないけど、まわりの環境はその時しか撮れないので、MOROHAはそっちの方がおもしろいって思ったんです。
ライブで言うところの対バンとワンマン、この違いと多分一緒です。ワンマンはやろうと思えばいくらでもできるけど、対バンはその時々の化学反応的なものが楽しいんです。

—MOROHAとエリザベス宮地監督の対バンですね。その化学反応を起こすなら、ライブで出会う人の人生を描くということですよね。試写された時どう思いました?

アフロ:やってくれたな、まんまと私物化してくれたなと。

UK:重い!(笑)楽しさのひとつもないですからね、俺のカラオケシーンくらいですよ(笑)

アフロ:MOROHAとして良いプロモーションになるとかならないとか、MOROHAがこれによって良い状況になるかとかわからないですけど、俺たちが関わる作品で、ちゃんと刺さるものができたからそれが嬉しかったですね。
それに、商売下手だなって思いました。俺たちも下手だし、あの人も下手だなって、それでやっぱり商売に出来たら最高だよなってやってるから、それが良かった。

UK:嬉しいのは宮地さんファンで、MOROHAを知ってくれた人も多いんですよね、それがすごく嬉しいです。映像ファンに響くと良いなと思います。

—昨日の試写会で、アフロさんが仰っていた「個人的な気持ちがいちばん人に伝わる」ということですよね。宮地さんのことを知らなくてもぐっとくると思います。

UK:カメラのことなんてわからなくても、「カメラに甘えるな」という言葉が出てきて、あれでちょっと泣きそうになるんですよ(笑)俺自分でMOROHAをやってるのに、「MOROHAに甘えるな」という言葉に、その人の気持ちになっちゃうんですよね。宮地さんの気持ちになっちゃうんです。あれすごいよなあ。

—「其ノ灯、暮ラシ」というタイトルと、映像の中身の繋がりがすごいです。

アフロ:ここが伏線になって後半に繋がってるんだって驚きます。俺が十代の頃に書いた「闘志」という色紙が、宮地さんのおじいちゃんの「自己との闘い」という書き初めに繋がって。その「たたかう」が、闘志の「闘」で。そこで、ふわーっていう感覚になったり。人生って伏線に溢れてるんだなって。それに気づく人と気付かない人がいるだけで、気付いた人がそれを作品にできるし、気づかない人はやっぱり気づかないし。

UK:わかりやすいところの映像でいえば、宮地さんが飛行機で東京に戻る時、空の上から見える街の光景をバックに「其ノ灯、暮ラシ」のタイトルが出てくるじゃないですか。そこに暮らしがあって、灯火があるんだよという、宮地さんすごいなって。

—これから見る人にどんな気持ちで見てもらいたいですか?

アフロ:さっき言った通り、この作品には、自分しか気づけ無い伏線というのが無数に張られていて。これは伏線だって、気づけたらそれってつくり手が意図してなくても、まぎれもなくあなたにとっては伏線で。それを見た人同士で共有して、「ああ本当だね」「そうだね」って見てもらいたいです。力いっぱい見てもらえたら楽しいし、食い入るように見れる作品だと思います。

UK:入口はみんなMOROHAを見たくて、DVDを買うと思うんですきっと。最終的には、自分との闘い、自分と向き合ってるというのがこの作品の肝だなと思ってて、いい意味ですごく裏切ると思うし、ダメージもでかいと思うけど、そういう作品ってあんまりないので、覚悟して見て欲しいというのがありますね。

—収録されているMemoriiと30/20について聞かせてください。Memoriiは、思い出のmemoryのyをiをふたつにして、「memorii」にしてますよね。これは大切な人と人との間にということで、iとiにしてるんですか?

アフロ:あーそれ素敵な気付きです、それちょっと使わせてください。
違うんですけど、そういうことだと思うんです。それはそれで正解だと思うし、ラップの醍醐味ってそこだと思うんです。言葉の数が多いだけに、いっぱい勘違いできるんです。いっぱい勘違いして、自分なりの物語に当てはめて、正解を出すというのでぜんぜん良いと思うんです。
ちなみにMemoriiというのは、大事な人のひと目盛りにという歌詞から、Memoriと考えて、ただ「メモリー」の意味を重ねられるといいよねってなって、iをもうひとつ足したんです。

—30/20は、LOST IN TIMEの名曲「30」のリアレンジですね。いま20代と30代の境目にいて、ふたりが年齢について思うことはありますか?

UK:僕はあんまり無いですね。ただ、LOST IN TIMEの「30」、僕はもともと知らなかったんですけど、この曲を聞いた時に、めちゃくちゃ感動したんです。20代前半から、後半にかけて、思うことがちょっとずつ変わってきて、良かれ悪かれ許せるようになってきたり、心が広くなってきたり、そういう思いをぎゅっと歌詞の中にあるのが感動してしまいました。やっぱり徐々に変わってるんですかね。

アフロ:俺は「30」を聞いた時に、LOST IN TIMEの海北さんに、「本当にこんな風に悟っちゃってるんですか?」って聞いたんです、そしたら「アフロ君、こうやって思う瞬間もあるけど、ふざけんなこの野郎、天下獲ってやる、俺がいちばん若いんだって思う瞬間もあるよ」って言われました。
いま10代の気持ちだって書けるし、今回俺は20代の気持ちを歌ったけど、どの時の自分を切り取るかっていうのがアーティストなんだと思いました。

—最後に、来年MOROHAは十周年を迎えます。どうですか心境は?

UK:割とそういう節目に対しての感覚が欠落してるんです(笑)5周年のときも、5周年だとも思わなかったし、でも大事ですよね。

アフロ:ファーストの時に歌った「恩学」という曲で、「音楽より大切な人 音楽で幸せにしたい」ってあの時歌ってた若い気持ちと、本気で今それをしなくちゃいけないという幸せな切迫感があります。
昔の曲をライブでたくさん歌っていて身に迫るものがあって、それこそ伏線じゃないけど、あの時俺が言ってたことってこういうことだったんだと本当に身に沁みますね。

—十年って長い年月ですよね。

UK:これまでの十年考えたら、この先十年はもっと長いですよね。この先の十年はやばい、修羅だと思うな。想像したくない(笑)。40歳でこれやる?って思いますよ。でも20歳で結成したときに30歳でこれをやっていると思うかですよね。でもやっててよかったと思いますね。

アフロ:幸せなのは格好いい先輩がたくさんいるってことです。俺たちが恋焦がれて対バンする先輩はどんどんかっこよくなってるから、格好良くなり続けるという希望はあるんです。人間ってのは強いんだって思います。

(了)

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「其ノ灯、暮ラシ」のポスターに書かれた「最初で最後の、この一瞬」。インタビューを終えて、この言葉の響きがより一層深まった気がしました。昨日よりも今日。今日よりも明日MOROHAどこまでも成長し続ける。そのためにこの一瞬を、真剣勝負をする。MOROHAとエリザベス宮地監督の対バンとも言える映像作品「其ノ灯、暮ラシ」。たくさんの人生の一瞬を、ぜひご覧ください。
(インタビュー&ライター 阿部広太郎)

【情報提供:YAVAY YAYVA RECORDS】

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