マイク1本、ギター1本、カメラ1台。格闘する様に完成したMOROHA「其ノ灯、暮ラシ」特別インタビュー(1/4)

2017.6.15 20:00

マイク1本、ギター1本、カメラ1台。格闘する様に完成したMOROHA「其ノ灯、暮ラシ」特別インタビューサムネイル画像

MOROHA

MOROHAの初の映像作品「其ノ灯、暮ラシ」の発売を記念したスペシャルインタビューが、公式サイトにて公開された。これはコピーライターであり、書籍「待っていても、はじまらない。―潔く前に進め」の著者である阿部広太郎氏と、MOROHAの2人との対談を「其ノ灯、暮ラシ」試写会直後に行ったときのもの。

阿部氏自身がMOROHAの音楽に「なあ、お前はこんなもんじゃないだろ」と焚き付けられ、それが自身の仕事に対しての衝動になっているというエピソードから始まり、MOROHAが結成から今作「其ノ灯、暮ラシ」が完成するまでを語りおろしたインタビューになっている。

「其ノ灯、暮ラシ」は、昨年の「MOROHAⅢ」のリリースツアーの4ヵ月間の中で起きた、様々な人たちとMOROHAの音楽の交差点を記録したドキュメンタリーDVD。監督であるエリザベス宮地が、MOROHAのライブ会場で出会ったファンの生活とMOROHAの楽曲とがどのように共鳴しあっているかを克明に描き出している。

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なあ、お前はこんなもんじゃないだろ。
コピーライター 阿部広太郎

打合せの時間が近づく。たぶん、おそらく、きっと、正解に近い案は出せている。このままひと息ついてゆっくり会議室に向かうこともできる。たとえそれが正解から外れていて、打合せ相手がすこし曇った顔をしたとしても、会話をしながらうまく軌道修正して、なんとか着地することもできるだろう。どこか逃げ道を探している自分に直面した時。なあ、お前はこんなもんじゃないだろ。胸ぐらを掴むような声が聞こえてくる。

思えば、言葉や企画を考えるコピーライターの仕事をはじめて、10年近くになる。20代、駆け出しの頃は不器用そのものだった。毎回、ああでもないこうでもないと寝食を忘れて打ち込んでいた。いつもファミレスの苦いアイスコーヒーを飲みながら、答えの見えない迷路をさまよっていた。努力がすぐに報われるほど、甘い世界ではない。案を出せども出せども、その考えが議論の中心になることはなかった。考えることはしんどい。それ以上に役に立てないのは虚しくなる。それでもこの仕事をやめたいと思ったことは一度もなかった。と、言ったら格好つけすぎかもしれない、弱気になったことはたくさんあった。でも、言葉で心を動かすコピーライターという仕事の魅力に取り憑かれていた。つづけていれば勘どころもわかる。あまり迷わず進めるようになる。器用になるとは、力の入れどころと抜きどころがわかることなのだと思う。仕事に向かう堅さもとれ、徐々に仕事を任せられる20代後半。そんな時だ、MOROHAと出会ったのは。

これが奮い立つ感覚というものなんだろう。弱虫になりそうな自分を認めてくれて、大丈夫まだまだ行ける、と背中をぽんと前に押してくれる。聞いて、聞いて、聞き続けて思った。MOROHAは焚き付ける。「俺たちは音楽で勝負してる。お前は何で勝負してるんだ」。思い出すのは、うまくいかなかったあの時だ。不器用なくせして、でかい夢を掴もうとしていたあの時だ。だから僕は、弱気を振り払う。打合せが近づこうと、それなりの案が出ていようと、足掻くことをやめられない。ぎりぎりになって思いついたことを、白い紙に走り書きをして、駆け足で打合せに行く。汗をかいて、必死になって、ダサいかもしれない。でも、これが自分なりの勝負の仕方だと思うからだ。一回切りの人生、正解の先にある、感動をつくりたい。そういう初期衝動をエンジンにここまで来たんだから。

MOROHAの映像作品「其ノ灯、暮ラシ」を語る上で、自分自身の話をしない訳にはいかないと思った。これは単なるライブDVDではない。映像作家のエリザベス宮地が、MOROHAの「なあ、お前はこんなもんじゃないだろ」という挑戦状を受けて、カメラ1台で勝負した130分間だからだ。MOROHAとエリザベス宮地の対バンとも言えると思う。真剣勝負をしている人にしか出せないヤバさがこの映像にはあふれている。エンドロールが終わった時、あなたは何を思うだろうか。この作品があなたに何を問い掛け、あなたがどんな勝負を仕掛けるのか、僕は楽しみでならない。

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6月14日(水)、MOROHAキャリア史上、初の映像作品がリリースされます。昨年から今年の頭に掛けて開催されたMOROHA III RELEASE TOURのドキュメント映像。これは、いわゆるライブDVDではありません。映像作家のエリザベス宮地が、ツアーに密着する中で見えてきた出会いと別れ、ライブと人生、それぞれの最初で最後の一瞬を繋ぎ合わせた、130分間の人間ドラマ。Red Bull Studios Tokyo Hallにて先行上映会が行われた翌日。MOROHAのこれまでと、これからも含めてインタビューを行いました。

 

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