Mrs. GREEN APPLEはなぜヒットを生み続けるのか 新作『POPS』とKアリーナ横浜20公演が示す圧倒的な支持
音楽チャートでMrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)の名前を見かけることは、もはや日常的な光景となった。「ライラック」「ケセラセラ」「ダーリン」など、次々とヒット曲を生み出してきた彼らだが、今回の新作アルバム『POPS』の勢いには、改めて驚かされるものがある。
【『POPS』全16曲がチャートイン 新曲「共犯」も躍進】
9月30日(水)に発売された6thオリジナルフルアルバム『POPS』は、10月7日(水)公開のBillboard JAPAN総合アルバムチャート「Hot Albums」で首位を獲得。CDセールス、ダウンロード、ストリーミングの3指標すべてで1位となり、初週のCD売上は約63.9万枚を記録した。さらに、10月14日(水)公開の総合ソングチャート「JAPAN Hot 100」では、収録された全16曲が2週連続でトップ100入り。過去の楽曲も含めると計20曲がランクインし、その人気の高さを改めて示した。特定のヒット曲にとどまらず、アルバム全体が幅広く聴かれている点も注目に値する。
特に注目したいのが、新曲「共犯」の躍進だ。同曲は10月7日(水)公開の「JAPAN Hot 100」で初登場8位を記録すると、翌週には2位まで上昇。ストリーミング再生回数も約575万回に達した。「Brand New」「lulu.」といった既発表曲に加え、アルバムで初めて発表された楽曲も早くから支持を集めている。これまでのヒット曲がアルバムへの関心を高め、そこから新たなヒット曲が生まれていく。
【幅広いタイアップと心に響く歌詞 ヒットを支える楽曲の魅力】
また、Mrs. GREEN APPLEの人気を語るうえで欠かせないのが、幅広いタイアップ展開だ。『POPS』には、TVアニメ『葬送のフリーレン』第2期のオープニングテーマ「lulu.」、連続テレビ小説『風、薫る』の主題歌「風と町」、映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の日本版主題歌「Brand New」など、さまざまな作品を彩る楽曲が収録されている。アニメから朝ドラ、ハリウッド映画まで、そのジャンルは実に幅広い。音楽番組や配信サービスだけでなく、日々の暮らしの中で自然と彼らの楽曲に触れる機会がある。こうした接点の多さも、Mrs. GREEN APPLEの音楽が幅広い層に親しまれている理由の一つだ。
もっとも、タイアップの多さだけで現在の人気を説明することはできない。Mrs. GREEN APPLEの楽曲には、一度聴けば耳に残るメロディの親しみやすさと、聴き込むほどに見えてくる歌詞の奥深さがある。たとえば「ケセラセラ」や「ダーリン」では、ただ前向きな言葉で背中を押すのではなく、不安や葛藤を抱える人々の心情が丁寧に描かれている。大森元貴が紡ぐ歌詞は、ときに人間の弱さや矛盾にも目を向け、そうした複雑な感情を伸びやかな歌声とキャッチーなメロディに乗せて届けている。
【新曲9曲で見せる多彩な音楽性 『POPS』に詰まった新たな挑戦】
今回の『POPS』でも、多彩な音楽性が発揮されている。全16曲のうち既発表曲は7曲、新曲は9曲。「シンデレラ」ではオーケストラの壮大な響きとバンドサウンドが交錯し、「ア・ポステリオリ」では変拍子を取り入れた複雑なリズムが耳を引く。また、「プロジェクト4」はメンバー3人がスタジオでアイデアを出し合いながら作り上げた楽曲で、これまでとは異なる制作手法にも挑戦している。一方、「共犯」では華やかなサウンドや色彩豊かなミュージックビデオの中に、不穏な空気を漂わせている。楽曲ごとに異なるアプローチを取り入れながら、ポップスとしての親しみやすさも失わない。『POPS』は、現在のMrs. GREEN APPLEが持つ表現の幅を改めて感じさせる作品となっている。
さらに興味深いのは、アルバムの届け方にも徹底してこだわっていることだ。『POPS』のトレーラーは「HOPE」と「VOID」の2種類が制作され、同じ楽曲が持つ希望と虚無、陽と陰の両面を表現。新曲9曲をテーマにしたポップアップストアを全国9カ所で展開したほか、初回限定盤には制作過程を追った約135分のドキュメンタリー映像も収録されている。楽曲を聴くだけでなく、映像や空間、制作の裏側を通して作品に触れる機会を用意することで、アルバムそのものへの関心を高めている。ストリーミングを中心に楽曲単位で音楽が消費される時代にあって、一枚のアルバムをじっくり楽しむ価値を提示している点も重要だ。
【Kアリーナ横浜で全20公演へ 「Harmony2」が示すライブの進化】
そして、こうした音楽への支持はライブ活動の規模にも表れている。2027年2月から6月にかけて、Kアリーナ横浜で『Mrs. GREEN APPLE on “Harmony2”』全20公演の開催が予定されている。2024年に同会場で開催された『Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”』は、全10公演で約20万人を動員。今回はその倍となる20公演を予定しており、一つの会場で約4カ月にわたってライブを展開する。これほどの公演数を同じ会場で重ねるという点からも、ライブアーティストとしての存在感の大きさがうかがえる。
そもそも2024年の「Harmony」は、ヒット曲を披露するだけのライブではなかった。ストリングスや管楽器を交えた厚みのある演奏に加え、舞台作品を思わせる演出を取り入れ、楽曲の世界観を豊かに表現。おなじみの楽曲にも新たなアレンジを施し、音源とは異なる魅力を引き出した。また、2026年9月からは全国13都市28公演のアリーナツアー『Mrs. GREEN APPLE Ringo Jam Tour “SHADOWS”』も開催中だ。各地を巡るツアーに加え、一つの会場で長期間にわたって公演を重ねる「Harmony2」も控えている。ライブの規模を拡大しながら、さまざまな公演形式に取り組んでいる点にも注目したい。
2026年から「フェーズ3」に突入したMrs. GREEN APPLE。『POPS』では新曲がチャート上位に入り、数年前に発表された楽曲も変わらず聴かれ続けている。さらに、全国ツアーを展開する一方で、Kアリーナ横浜での20公演という新たな挑戦も控える。これほどの人気を獲得した今も、楽曲制作やライブを通して表現の幅を広げ続ける3人。ヒットを重ねることにとどまらず、その先にある新たな可能性を追求している。『POPS』と「Harmony2」は、そんな彼らの現在地を示すとともに、これからの活動にさらなる期待を抱かせるものとなっている。


