「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」主要6部門ノミネート作品から探る日本の音楽の現在地
先日、国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN(ミュージック・アワーズ・ジャパン)2026」(MAJ2026)が、6月13日(土)の授賞式で表彰するノミネート作品を発表した。
主要6部門である「最優秀楽曲賞」「最優秀アーティスト賞」「最優秀アルバム賞」「最優秀ニュー・アーティスト賞」「Best Global Hit from Japan」「最優秀アジア楽曲賞」では、各部門5つずつのノミネート作品/アーティストが決定している。
まさに日本の音楽の祭典と呼ぶにふさわしい、錚々たるアーティストが揃い踏みのMAJ2026。本記事では、ノミネートした作品やアーティストをいくつかの傾向ごとに分析し、日本の音楽の現在地を探ってみたい。
【「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」主要6部門ノミネート作品】
「MUSIC AWARDS JAPAN」は、「世界とつながり、音楽の未来を灯す(ともす)。」をコンセプトとした、国内最大規模の国際音楽賞。現在はエントリー作品に選ばれたアーティスト・クリエイターをはじめとする音楽関係者によってノミネート作品の中から最優秀作品を決定する最終投票を実施中で、その結果は6月13日(土)に発表となる。
主要6部門にノミネートした作品/アーティストは以下の通り。
【最優秀楽曲賞】
Blue Jeans/HANA
IRIS OUT/米津玄師
怪獣/サカナクション
革命道中 – On The Way/アイナ・ジ・エンド
好きすぎて滅!/M!LK

【最優秀アーティスト賞】
Fujii Kaze
HANA
Mrs. GREEN APPLE
サカナクション
米津玄師

【最優秀ニュー・アーティスト賞】
CANDY TUNE
HANA
luv
STARGLOW
ブランデー戦記

【最優秀アルバム賞】
10/Mrs. GREEN APPLE
Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-/Various Artists
Gen/星野源
Prema/Fujii Kaze
THANK YOU SO MUCH/サザンオールスターズ

【Best Global Hit From Japan】
HYPNOTIZE/XG
IRIS OUT/米津玄師
JANE DOE/米津玄師, 宇多田ヒカル
ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)/LiSA
うっせぇわ/Ado

【最優秀アジア楽曲賞】
【Indonesia】Tabola Bale/Silet Open Up
【Philippines】Multo/Cup of Joe
【South Korea】Dash/PLAVE
【South Korea】Drowning/WOODZ
【South Korea】Golden/HUNTR/X

【SNSを効果的に活用したバイラルヒット】
近年では、YouTubeやTikTokなどのSNSから爆発的に広がっていくバイラルヒット曲が次々に誕生している。「最優秀楽曲賞」にノミネートしているM!LKの「好きすぎて滅!」は、推し活が広く普及した現代にマッチするような共感性の高い歌詞、耳に残るメロディ、キャッチーで覚えやすいポーズが話題を集め、M!LKの楽曲の中で初めてBillboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数1億回を突破した。M!LKは今年の2月にリリースした楽曲『爆裂愛してる』もヒットを飛ばしており、Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で怒涛の8連覇を達成。公式YouTubeチャンネルやTikTokでも楽曲を使ったショート動画を積極的に更新しており、あらゆる方面から楽曲が知られていく流れを作り出している。
「最優秀ニュー・アーティスト賞」にノミネートしているCANDY TUNE(キャンディーチューン)は、2024年4月に配信リリースした楽曲「倍倍FIGHT!」が2025年に入ってからショート動画プラットフォームでバズを生み、同年3月にMVも公開。そこから一気に火がつき、同年末の『第76回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たすなど、グループの勢いを決定づける起爆剤となった。キュートなパフォーマンスに加えて、「この曲聴くと涙出てくる」「こういう底抜けに明るい曲は沁みる」「元気にさせてくれる曲」といった“歌詞に励まされる”という声が多いのも特筆すべき点。ひとつの楽曲としての強さが、リリースから時を経ても長くリスナーに愛される要因の一つになっていることが予想される。
CANDY TUNEと同じく「最優秀ニュー・アーティスト賞」に名を連ねているluv(ラヴ)は、メンバー全員2003年生まれの新世代フューチャーソウルバンド。2024年7月にメジャーデビューをしたばかりの新星だが、特にアジア圏でのバイラルヒットが印象的だ。メジャーデビュー曲「Fuwa Fuwa」は台湾のバイラルチャートで好アクションを見せたほか、2025年2月にリリースした1st Mini Album「Already」収録曲「Send To You」がアジア各国でのバイラルチャート上位にランクイン。楽曲の舞台になっている銭湯で撮影した同曲のMVのコメント欄にも、台湾や韓国のリスナーからの反響が多く見られ、その影響力の高さが伝わってくる。
【依然として高いアニメ主題歌の影響力】
アニメの主題歌は依然として高い人気を誇っており、海外でも支持されていることから、日本の音楽を語る上で欠かせないと言えるだろう。「Best Global Hit From Japan」には米津玄師の「IRIS OUT」「JANE DOE」がノミネート(「JANE DOE」は宇多田ヒカルとのコラボ楽曲)しており、この2曲はそれぞれ、興行収入100億円超えのメガヒットを記録した劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌とエンディング・テーマだ。楽曲としてのクオリティの高さに加え、作品の世界観とキャラクターの心情を巧みに表現しているのが特徴で、「IRIS OUT」は『第76回NHK紅白歌合戦』でも映画を思わせる演出・パフォーマンスで披露され、大反響を呼んだ。楽曲と作品、双方が魅力を引き出し合っている効果的な例のひとつだ。
「最優秀楽曲賞」にノミネートしているサカナクションの「怪獣」は、TVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』オープニング・テーマのために書き下ろされた楽曲。彼らにとって初のアニメ主題歌だ。『チ。 ―地球の運動について―』は、地動説を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語。「怪獣」の歌詞はそんな作品のテーマと密接にリンクしていることに加え、MVもボーカルの山口一郎が抱えている卵のようなものを必死に守りながら、最後には別の人物に託して力尽きるという構成で、地動説の証明が次の世代へ引き継がれていく『チ。 ―地球の運動について―』のストーリーを思わせる。「怪獣」はアニメと深く繋がりを持たせることで、唯一無二の価値を生み出すことに成功していることがうかがえる。
【実力派ガールズ・ボーイズグループの勢い】
高い実力を誇るガールズ・ボーイズグループの躍進も見逃せないトピックだ。ちゃんみながプロデューサーを務めたオーディション“No No Girls” から誕生した7人組ガールズグループ・HANAは、デビュー年である2025年にリリースした楽曲全てがBillboard JAPANチャートにおけるストリーミング累計再生回数1億回を突破するなど破竹の勢いを見せ、「最優秀アーティスト賞」「最優秀ニュー・アーティスト賞」にダブルノミネート。メンバーそれぞれのスキルフルなパフォーマンスを武器に、一気にチャートの中心に躍り出た印象だ。
「Best Global Hit From Japan」に楽曲「HYPNOTIZE」がノミネートしている7人組アーティストグループ・XGは、特にグローバルな活躍が目覚ましい。2025年4月に開催されたアメリカ最大級の音楽フェス「Coachella Valley Music and Arts Festival(コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル)」では日本人アーティストとして唯一の出演を果たし、世界にその実力を知らしめた。現在は2度目のワールドツアーを開催中で、さらに世界的な音楽フェスへの出演も予定しており、日本発グループの中でも圧倒的な存在感を発揮している。
最優秀ニュー・アーティスト賞にノミネートしているSTARGLOW(スターグロウ)は、BMSG主催のオーディション『THE LAST PEACE』から誕生した5人組ダンス&ボーカルグループだ。2026年1月にシングル『Star Wish』で鮮烈なデビューを果たした彼らは、イギリスの音楽総合メディア『NME』が発表した、世界中の注目すべき新進気鋭アーティストを選出するリスト「The NME 100: Essential Emerging Artists For 2026」に選出された。その音楽的クオリティと次世代を担うポテンシャルが評価され、日本から唯一の選出だという。STARGLOW、そして前述のHANAもオーディションから一気に羽ばたいていったグループであり、こういった流れは昨今の日本の音楽シーンにおいて主流になってきていると言えそうだ。
【「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」で広がる可能性】
MAJ2026では、他にも「最優秀バイラル楽曲賞」「最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞」「最優秀ミュージックビデオ作品賞」など多くの部門が用意されており、この賞を通じて改めて注目されたり、スポットライトが当たったりする楽曲・アーティストも多いことだろう。リスナーがさまざまな角度から日本の音楽の魅力を再発見する。MAJ2026は、その良いきっかけになるかもしれない。

