デビュー30周年!東野純直、強い覚悟で続ける音楽活動への情熱「僕なりの人生の設計図になる」

2023.9.5 18:00
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東野純直

今年デビュー30周年を迎えたシンガーソングライターの東野純直さん。1993年にシングル「君とピアノと」でデビューし、これまで13枚のオリジナルアルバムを発表してきたほか、2016年からはラーメン店の経営も行い、二足の草鞋で活動中です。

2023年はデビュー30周年を記念した全国ツアーに加えて、複数のライブを開催するなど、精力的に活動されています。今回はそんな東野さんに、これまでの活動や、ライブにかける思い、今後チャレンジしてみたいことなど、様々なことについて伺いました。

何よりも喜びを感じるファンとの交流「様々な思い出をまた共有できている」

ーー東野さんは今年デビュー30周年を迎えられましたが、今どんなお気持ちですか?
 
東野純直さん(以下、東野):ありきたりな言葉しか見当たりませんが、早いなと。30年という月日を重ねてきた重みに対しての実感は、正直あまり無いです。

ただ、自分にしかないプラットフォームの現在の形「飲食業との二足の草鞋」があることで、昔聴いてくれていたファンの方々が子育てを終えて戻ってきてくれて、以前出来なかった距離感で様々な思い出をまた共有できていることが何より嬉しく、喜びを感じますね。
 
ーーご自身の活動を振り返ってみて、特に印象に残っていることや、ターニングポイントだと思うことはありますか?
 
東野:デビュー当時の歌物「J-POP」として万人に愛される分かりやすい楽曲を追い求め、日々制作に明け暮れていました。デビュー翌年の94年あたりからでしょうか。オブラートで包んだ抽象的な、あるいは雰囲気ものである歌物が、自分自身でさえ時代にミスマッチする感覚に襲われるようになりました。

それで、本来のバックボーンであった往年のロックレジェンドに今一度傾倒し、いつしか自らにしか出せない無骨な音楽を求め始めて、多くの方に知って頂くことになった「J-POP」というジャンルからアップグレードする考え方に流れ着いたのです。テイチクエンタテインメントから東芝EMIへの移籍がそのターニングポイントでした。
 
ーー多くの曲の作詞・作曲を手掛けてきた東野さんですが、過去と現在で、詞の書き方や曲の作り方など、変化したことはありますか?
 
東野:デビュー直後までは、ただ無心に、美しいメロディー、包容力のある言葉や情景が浮かぶようなシーンを曲や詞に反映していました。ただ、音楽に触れれば触れるほど、核心を得たくなり、UKサウンドしかり「混沌」的な音楽に喜びを得るようになったのです。

当時は、カート・コバーンの衝撃的なアプローチが全世界の音楽の在り方を変え、さらにレディオヘッドが「混沌」を極めた時代だったので…分かりやすい万人受けする楽曲が好きな自分の音楽に“本物”を練り込もうと悪戦苦闘していました(笑)!

今思えば、滑稽なことだったのかもしれませんね。遠回りはしましたが、今は自分の天命を知り、一周して「J-POP」の核心をまた模索中です。
 
ーー長年シンガーソングライターとして活動される中で、東野さんがもっとも大切にしてきたことは何ですか?
 
東野:皆さんが自分をどう見て、どのようなイメージで解釈しているかを探求し、それに応えられる自分であるよう努力することです。まあ、自分で自分は正直見えませんが、スタッフの方々の意見を素直に聞く柔軟さも大切だと思います。

自分もそうであったように、有頂天になってしまうこともあります。でもいつか必ず気付くのです。聴いてくれる方々が救われたり、元気を出してくれたり…それぞれの人生の傍にいて、少しでも力になれたらどんなに幸せか?みたいなことばかり、常に考えていることに気付くのです。

精力的に開催するライブは「目に見えない力を交換し合い、元気になれる場所」

ーー8月26日に開催された『東野純直 Birthday LIVE 2023 Vol.52』では、かつて東野さんと二人で九州から上京された安部潤さんがサポートメンバーとして出演されました。今回、安部さんの出演が決まった経緯はどういったものだったのでしょうか?
 
東野:19歳で福岡に進学し、福岡在住の21歳の潤さんに初めてアレンジしてもらった時、カミナリで頭を撃ち抜かれたような衝撃を受けました。アレンジャーってすげ~!ってね。

あれから32年、当時の自分のサウンドの大半がなぜ潤さんの世界観だったのかを音楽人として再確認してみたかったんです。お互いほぼ同時に上京し、潤さんの初シングルアレンジデビューが「君は僕の勇気」という僕の2ndシングルでした。

音楽性なども理解してくれているおかげか、今回ライブのリハーサルをしながら、お互いに痒いところに手が届く感じがして、潤さんが潤さんである意味がありありと分かりました。この一体感が、来場された皆さんにも伝わっていたら嬉しいです。
 
ーー9月9日には、かつて東野さんが所属されていたヤマハ音楽振興会の同期である宇井かおりさん、千綿偉功さんとのオムニバスライブが開催されますね。こちらはどういった内容を予定しているのでしょうか。
 
東野:今回のイベント「NO LIMIT」は今年で3回目の開催になります。我々アーティストは所属事務所で精一杯努力し、自分の表現が末長く続けられるよう頑張るわけですが、同じ事務所で一生音楽活動を続けられるアーティストはほんの一握り。

我々アーティストサイドはライフワークとして音楽活動に取り組むのに対して、事務所は企業として社員を雇用するために利益を生み出すコンテンツが必要なので、結果が出せないならその先はありません。

しかし、そんな消費期限的な部分はあくまでスタッフサイドからの見方ですし、自分自身が決断しない限り、我々に表現活動の期限はないのです。そんな気持ちで「期限はない(NO LIMIT)」と名づけたイベントをしたいと宇井さんが声をあげ、このイベントを立ち上げてくれました。

90年代の歌物のメロディーには最高の手法が詰まっています。千綿さんの熱い歌、宇井さんの癒し、東野の賑やかし(笑)で盛り上がること間違いありません。ぜひお集まりください。
 
ーー今年4月からはデビュー30周年を記念した全国ツアーも開催されています。こちらはピアノ弾き語り公演となっていますが、こだわっているポイントは何ですか?
 
東野:ここまでの30年、皆さんの応援に支えられて活動させていただいていますが、どうしても関東を中心とした活動になってしまい、全国にいらっしゃるファンの方に会いに行くことが出来ませんでした。

だからこそ、この30周年を機に全国の皆さんの住む街に行き、近い距離感で歌を届けたい、という思いから実現に至りました。歌ってもっと身近なんじゃないかな?という素朴な疑問を一緒に考えられる距離感で歌います。

以後、この全国弾き語りツアー「UTATABI」は毎年開催していくつもりです。お住まいの地域で僕を見かけたらぜひ会いにきてください!
 
ーー東野さんにとってライブとはどのような存在ですか?
 
東野:自分が生きているという実感を確認する場所であり、同じ青春を共にした皆さんと明日の活力を生み出す場所であるとも思います。

どんなに良い曲を書いたとしても、それを口伝していくのは古の琵琶法師のようにLIVEで人から人へ直接伝えてこそ。どんなにSNSを含めたネットが進化し、AIが仮想アーティストや仮想俳優を作ろうが、人が感じとるアンテナのような“第六感”とも言えるアナログな感覚は、我々でしか感じとることが出来ない特別なものと考えています。

自分にとってLIVEとは、そんな目に見えない力を交換し合い、元気になれる場所ですね。

今伝えたい“挑戦”のメッセージ「必ず僕の音楽人生という山を登頂する覚悟です」

ーー音楽活動を続ける上でモチベーションになっているものは何ですか?
 
東野:恥ずかしながら、制作後やライブ後に常に残るほんのごくわずかな不完全燃焼感なんです。

万全の準備をし、納得する作品を発表して、LIVEで披露しても、まだ足りない、もっと何かあるはずだ、こんなアプローチはどうだろうか?と考えてしまい、「僕はまだまだ修行が足りない」と反省してしまうのです。

この感覚がなくなるようにするにはどうすれば良いのかを追い求める日々がつながって、これまでのキャリアになっているのかもしれません。

なので、僕のモチベーションの源はもしかすると「数パーセントの課題の達成」なのかもしれませんが、多分それを解消することは無理なんでしょうね。ってことは、死ぬまでやるんでしょうね(笑)。
 
ーー今後の活動で挑戦してみたいことはありますか?
 
東野:デビューする時に皆さんに分かりやすく、なおかつ自分自身が歩く方向を見誤らないようにするために、ある足かせを仕込みました。それは、アルバムをアルファベット順に出していくことです。

この実現には人生を賭けた壮大な覚悟がいることもわかっていたし、過程で朽ちそうになっても、共に歩いてくれるファンの皆さんを思えば、必ず奮起できると信じています。アルファベット順に必ずリリースし続けることが、僕なりの人生の設計図になると信じてやまないのです。その達成こそが最大の挑戦です。
 
ーー最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
 
東野:これまで30年間という長い期間応援していただいて心から感謝しています。本当にありがとうございます。

まだまだ登頂するには程遠く、年齢も重ねていますので、これまで以上に頑張って行かないと「Z」までアルバムを出すことは難しいと理解しています。歌詞にも書いていますが時に自分の道が周りから理解されず笑われたとしても「笑うヤツを笑えばいい、答えは自分の手の中にある」の精神で力強く歩き、必ず僕の音楽人生という山を登頂する覚悟です。

ファンの皆さんには、楽しく気長にお付き合い頂けたら本望です。今後とも応援よろしくお願いいたします。

【ライブ情報】

■「MUSIC GIFTS Presents THE LIVE “NO LIMIT 2023”Vol.3」
9月9日(土)埼玉・西川口 Live House Hearts
出演:東野純直/宇井かおり/千綿偉功
 
東野純直TOUR 2023 「UTATABI ~君の近くへ~」
9月17日(日)大阪・Studio&Cafe Make 
11月11日(土)東京・Live Cafe & BAR Roman
12月29日(金)鹿児島・Live Heaven

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