プロデューサー兼音楽プロダクション代表のTATSUYA、多彩な活動の中で思い描く夢とは?「名を刻めるようなことを」

2023.3.1 10:00

2年後に開催される予定の「Expo2025 大阪・関西万博」。それに先駆けて、昨年11月より大阪モノレールにて、大阪・関西万博のオリジナルデザインをまとったラッピング列車「EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号」が運行されています。

この「EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号」のイメージソング「We are」の楽曲・MVをプロデュースしたのが、大阪で音楽プロダクションを立ち上げているプロデューサーのTATSUYA氏。

今回は、そんなTATSUYA氏(株式会社RoB代表)に、プロデューサーとしての考えや、「We are」の楽曲・MVプロデュースについて、また今後の展望についてなどお伺いしました。
 

◆所属アーティストのプロデュースで大事にしていることは「自分のカラーを打ち出すバランス」

ーーTATSUYAさんはアーティスト活動を経て著名アーティストの楽曲提供など作曲家として活躍し、その後、地元大阪で音楽プロダクション・株式会社RoBを立ち上げられプロデューサーへ転身されたとのことですが、そこに至った経緯を教えていただけますか?
 
TATSUYAさん(以下:TATSUYA):20歳でアーティスト活動を始めて、25歳の時に上京しました。当時から自分の曲を作詞作曲しながら、楽曲提供やプロデュース等もしていましたが、30歳を過ぎた頃から自分でアーティストを育成することへの興味が湧いてきたんです。

その時に、自分が出来得ること全部を体現するにはどうすべきか考えた結果、起業しようと思うようになりました。

そして、具体的に構想を練り始めた際に、東京を拠点にするよりも自分が生まれ育った大阪で頑張りたいと思ったんです。あとは、大阪の方がトップ取りやすいなと思ったのもありますね(笑)。
 
ーー御社所属アーティストのプロデュースと他社アーティストへの楽曲提供とのプロデュース、制作方針の違いなどはありますか?
 
TATSUYA:一言で言えば、自分のカラーを打ち出すバランスですね。

他社に所属されているアーティストの方への楽曲提供の場合は、その方々をマネージメントされてる事務所やレーベルの方々の意見も加味して、そのイメージに沿った楽曲をプロデュースします。

一方、自社アーティストへは、所属するタイミングから自分がプロデュースとして入っているということもあり、それぞれどんな楽曲が合うのか、またどんなものが今求められてるのかを加味した上で、アーティスト本人とも話しながら制作を進めていきます。また、自分が思うブランディングを楽曲でも打ち出せるよう考えている部分も大きいですね。
 
ーー株式会社RoBに所属する4組のアーティスト、G.U.M、WITHDOM、AGE、U.forもそれぞれ個性が違うと思いますが、それぞれどういう考えでプロデュースされていますか?
 
TATSUYA:そうですね。業界内における現況を踏まえるという大きな軸は同じですが、それぞれによって打ち出し方は違います。

各アーティストについてお話しすると、U.forは現在サブスクに特化した楽曲作りに力を入れています。かつ、彼女自身のもつ等身大のメッセージを表現するように、本人から上がってきた歌詞をチェックして、彼女の思考やニュアンスをより明確にアウトプットさせるように心掛けています。前作のFaderシリーズはまさにこの流れで制作したものです。

WITHDOMは多様性を持ったグループなので、それを意識したプロデュースをしています。また、メンバーのSMOOTHやROYなど本人達が楽曲を制作出来るのもあり、共作で進めることも多いですね。ブランディングとしては、彼らの多様性を活かしたソロ活動にも力を入れていますし、楽曲においてはライブで映える楽曲と、サブスクで映える楽曲との両軸を持つようバランスを取っています。

AGEは良い意味で個性がバラバラなグループなので、プロデュースでは、個々の強みを活かしつつ、楽曲・パフォーマンス共にとにかく完成形を追求しています。また、WITHDOMとは違った多様性も持ち合わせているので、グループ内でユニットを組んだり、ソロ活動も見据えているところです。

G.U.Mは5人で一つのカラーが強いグループなので、楽曲においては全員の特性を活かしつつ、ジャンルに縛られないプロデュースをしています。また、音楽以外でも活躍の場を広げるべく、演技やバラエティー、ラジオDJなど様々な面を打ち出せるようなグループになっていって欲しいと思っていますね。
 

◆万博をテーマにした楽曲「We are」に込めた想い「世界各国のより多くの方たちにこの曲を聴いていただきたい」

「We are」
「We are」

ーーTATSUYAさんは、大阪・関西万博ラッピング列車「EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号」のイメージソング「We are」のプロデュースを手がけていますが、プロデュースに至った経緯を教えてください。
 
TATSUYA:2020年に、コロナ禍において大阪モノレール様が医療従事者の皆様へ向けたラッピング列車『ブルーエール号』を運行していた際、WITHDOMの楽曲「コトノハ」をイメージソングに選んでいただいたんです。

そして、昨年、万博記念公園駅構内にて大阪モノレール様と当社でイベントを共催する中で「Expo2025 大阪・関西万博」に向けたラッピング列車「EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号」のイメージソングをご依頼いただき、今回楽曲をプロデュースすることになりました。
 
ーー「We are」には、4組のアーティストに加え、海外一般合唱参加者という形で世界各国出身の方々が参加されています。どういう考え、狙いで制作されましたか?
 
TATSUYA:まず、万博がテーマの楽曲ということもあり、サビに関しては日本人のみならず世界各国の方々が、言葉は分からずとも一度聴いただけで口ずさめるようなメロディーを意識して制作しました。

さらに、世界各国のより多くの方たちにこの曲を聴いていただきたいという思いがありました。

そこで、自社アーティストだけでなく海外の方々の声を合わせることでサビの部分により臨場感を出せたらと考えて、日本にお住まいの海外ご出身の方たちにもご参加いただく運びとなりました。
 
ーー楽曲提供以外にも、先日公開された「We are」のMVプロデュースを担当されました。TATSUYAさんは普段音楽制作を主に手掛けられていらっしゃいますが、音楽と映像プロデュースというコンテンツの違いによって、意識したイメージや考え方はありますか?
 
TATSUYA:普段、自社アーティストのMVも大体プロデュースしているのですが、本人の声やパフォーマンスも含め、楽曲が出来上がった時点でどういったものを映像で打ち出したいか頭の中でほぼ決まってることが多いんです。

なので、まずはその頭の中にあるイメージを監督に伝え、それを撮影までに本人やカメラマンにどうアウトプットするかを考えてます。

あとは、MVは1曲を通してイントロから撮影する訳ではなく、基本的にはバラバラに撮影することが多いんです。ですから、その箇所の歌詞の意味を踏まえた表情や仕草なんかも、その場で直接ディレクションしたりしますね。

そういう意味では、楽曲もMVもプロデュースの大枠は似ているかもしれません。
 
ーー「We are」プロデュースを通して、「Expo2025 大阪・関西万博」にどのように関わって、貢献したいとお考えでしょうか。
 
TATSUYA:まずはこの「We are」を日本のみならず世界各国の沢山の方々に聴いていただくことかなと思います。曲を通してこの楽曲と万博のテーマにあるメッセージがより多くの皆様に届き、希望を抱いてもらえたとしたら大変光栄です。

また、「Expo2025 大阪・関西万博」にてぜひ「We are」を披露する場をいただきたいなと。そのステージに、自社アーティストが立っている未来を想像しています。
 

◆プロデューサーとして感じる音楽業界の“現状と未来”「あまり垣根がなくなってきている」

ーーTATSUYAさんから見た、昨今の音楽業界に対するプロデューサーとしての意見と、今後を見据えた意見を教えてください。
 
TATSUYA:この10年で音楽業界は大きく変わってきていると思います。

特にこの3年はコロナ禍だったことも影響して、レコード会社や事務所の在り方みたいなものも変わってきているなと。あまり垣根がなくなってきているというか。

そんな中でも「発信していく」という本質的な部分は変わらないんですが、伝え方や方法、アプローチみたいなものはまたこの先5年で大きく変わっていくのではないかと考えているんです。

僕はそもそも自分達で出来ることは自分達でやるというスタイル。なので、まだ詳しくは言えませんが、その流れを見据えた動きやアプローチを準備しています。

プロダクションマネージメント、イベント、楽曲制作、映像制作、リリースなど、従来それぞれの専門分野の会社で進めてきていたことを、全て自社関連会社だけで進めていけるのは自分達の強みです。

自分としては、この土台の上で、もっと沢山の方々に知っていただけるよう、同業・異業関係なく沢山の方々と手を組み、共感し合える方々と意見を交換していくことが大切だと思っていますし、それは業界的にもこれから必要とされることなのではないかなと考えます。
 
ーープロデューサーとして叶えたい夢や目指している目標はありますか?
 
TATSUYA:プロデューサーとして、やはり最初に出てくるのは自社アーティストをもっと多くの沢山の方に知っていただきたい、ということです。

大きな会場の一番後ろから自社アーティストのライブをじっくり見てみたい、というのもありますね。今はライブになると、基本的に音響ブースで指示を出したり、インカムを付けて当日全体の演出をやったりしているので、これも一つの目標です(笑)

あとは、これはプロデューサーとしてではないかもしれませんが、この業界の歴史において名を刻めるようなことを目標にしています。自分は経営者という立場でありながら作家でもあるので、クリエイターやアーティストがもっと活発的に音楽活動が行えるような仕組みを作れたらなと思っているんです。

何より、自分のモットーでもある「HAPPYを届ける」という気持ちをこれからも持ち続けて、未来を視るのではなく、自分の頭にある未来を作れるようにこれからも邁進していきたいですね。

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