古内東子、音楽と向き合う“多幸感”と“達成感”を糧にデビュー30周年「最高の贅沢品だと思います」

2022.4.21 18:30
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古内東子

デビュー30周年を迎えるシンガーソングライターの古内東子さん。1993年にリリースした「はやくいそいで」でデビューし、以降さまざまなラブソングで、多くの人から支持を得ています。

2月21日には、デビュー30周年記念プロジェクトの第1弾となるニューアルバム『体温、鼓動』がリリースとなり、そのアナログ盤が4月27日に発売されます。また、4月30日からはライブツアーが開催される予定です。

今回は、そんな古内さんに、アルバム『体温、鼓動』の制作秘話や、ラブソングを書く上でのこだわり、これまでの活動でのターニングポイントなど、様々なことについて伺いました。
 
ーー『体温、鼓動』の発売、おめでとうございます!今作は古内さんのセルフプロデュースとなるオリジナルアルバムですが、特にこだわったポイントは何ですか?
 
30周年を記念して、のアルバムということで、まずは私にとっていちばん身近で大切な楽器である「ピアノ」を中心とした一枚にしようというところから始まりました。

さらに、全曲ピアノトリオ(ピアノ、ドラムス、ベース)という編成にすることによって、ピアノがもっとも輝くアルバムにしたいと思ったんです。

全体的にそういったとてもシンプルなサウンドの作品に仕上がりました。

あと、シンプルながらも、コーラスはしっかり入れたのもこだわりポイントのひとつですね。
 
ーー今作は、古内さんにとってゆかりのある6人のピアニストの方を曲ごとに起用されているということですが、レコーディングを振り返って、いかがでしょうか?
 
私も含め、6名のピアニストの皆さんには同じスタジオの同じピアノを弾いていただきました。

なので、それぞれの方のタッチやニュアンスといった個性が、如実にあらわれていると思います。

雑談をしながらのトリオ感の構築の仕方や、ソロへの取り組み方などもそれぞれで、とても興味深かったです。

スタジオの一番後ろで見ていた私がいちばん楽しんでいたかも知れませんね(笑)。
 
ーー3曲目には、アルバムのタイトルにもなっている楽曲「体温、鼓動」が収録されています。この楽曲やタイトルに込めた思いなどあれば、お聞かせください。
 
「体温、鼓動」は、結果的にアルバムタイトルにもなりましたが、最初に曲が完成したんです。

ピアノトリオという、ジャズを想起させる編成にしたことで、生まれて初めて変拍子の曲を書いてみたいと思いついて出来た一曲です。

五拍子という少し混沌とした世界観に引っ張られて生まれた歌詞は、とてもシンプルながら情熱的で力強いメッセージとなりました。アルバムのタイトルとしても、これしかないと思いました。
 
ーー8曲目には、デビュー曲「はやくいそいで」がリアレンジ収録されています。思いや捉え方など、曲に対しての意識で変わった部分などはありますか?
 
今回のアルバムのコンセプトや流れに沿うものでありつつ、大切なデビュー曲なので、妙な大改造は加えたくないと思っていました。

そこで、少し大人っぽくキーを下げて歌ったデモを河野伸さんにお渡ししたんですが、返ってきたアレンジは、まさに私の思いを具現化してくださったものでした。

デビュー当時の気持ちもよみがえりながら、今自分がいる場所もきちんと教えてくれる素敵なサウンドです。
 
ーー古内さんは今年デビュー30周年となります。ご自身の活動を振り返ってみて、印象に残っていることや、ターニングポイントはありますか?
 
まずデビュー出来たことや、そこに至るまでの数年間のプロセスは、私の人生にとってもちろん最大のビッグイベントでした。

その後から今に至るまでの中では、何度か行わせていただいたアメリカでのレコーディングが印象に残っています。あちらのミュージシャンの数々のプレイを目の当たりに出来たのは、良い経験でした。

それに加えて、ピアノの弾き語りを始めたことも、最も大きなターニングポイントだと思います。
 
ーー20歳でアーティストとしてデビューされて以来、一貫してラブソングを書かれている古内さんですが、過去と現在で、詞の書き方など、何か変化したことはありますか?
 
基本的にはほとんど変わっていないと思います。メロディーを先行して作り、それに乗せる形で言葉を探していくというか、引っ張って来るというか。

言葉のチョイス自体は、その時々で多少変わっているかも知れません。「だわ」を「だよ」にしたり、「あなた」を「君」に変えたり…といったようなことです。あくまでマイペースというか自然体なので、そこまで自分では意識していないのですが。
 
ーーラブソングを書く上で大切にしていることや、こだわっている部分は何ですか?
 
どちらかというと、ほんの些細なことが恋愛においては重きを占めると思うので、そういう「上手く言葉には出来ないんだけど、忘れたくないこの気持ち」みたいなものを書きたいといつも思っています。

あとは、あくまで普段着の飾らない言葉でありつつ、綺麗な日本語であれ、と歌詞を考える時は自分に言い聞かせています。音符と言葉のイントネーションの相性が悪いと、何と言っているか伝わらなくなるので、言葉を生かすためにメロディーを変えたりもしますね。
 
ーー4月末からはアニバーサリーイヤーのライブツアーを開催されますが、意気込みなどあればお聞かせください。
 
30周年にかこつけて、行きたいところ、いつもは行けないところにお邪魔するツアーです。ニューアルバムでさらにフィーチャーされたピアノの音色とともに、私の新旧のラブソングに心ゆくまで浸っていただけたら嬉しいです。
 
ーーコロナ禍の影響で無観客ライブなども増えて、既存の音楽の形式が大きく変わったと思いますが、音楽に対する向き合い方は以前と変わりましたか?
 
ステイホームが続いていた時には、配信ライブを自宅で色々楽しみました。こういう形もアリだし、お得感あるなーなんて思いました。

でもしばらくして、すごく久しぶりに実際に足を運んでライブを観に行ったのですが、その時の何とも言えない高揚感は忘れ難いです。

様々な形で音楽を楽しめるようになりましたが、やはり、やる側としても行く側としても、ライブという「体験」はこれからもずっと大切にしていきたいです。
 
ーー音楽活動を続ける上でモチベーションになっているものは何ですか?
 
時間を忘れるほど曲作りに没頭して、それが出来た時に膝を打つ感覚でしょうか。その時点ではあくまで自己満足の段階ですが、その多幸感が忘れられず、長年続けるモチベーションになっています。

また、レコーディングにしてもライブにしても、協力してくれる人たちと分かち合う達成感みたいなものも、最高の贅沢品だと思います、それも大きなモチベーションです。
 
ーー最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
 
まずは、心をとことん開放して曲作りに励んで、素晴らしいお仲間に恵まれて出来たニューアルバム『体温、鼓動』をぜひ聴いていただきたいです。

繊細なサウンドは音楽への愛に溢れ、歌詞は人を想う切なさに溢れています。

そして、そんな曲たちとともに、もちろん懐かしい曲も連れて、今後各地へライブに参りますので、ぜひどこかでお会い出来たらと思います。

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