武藤千春、アパレルから農業までジャンルレスに活躍する“原動力”「子供心を忘れず楽しめたらいいな」

2022.1.23 18:30

2014年までダンスグループE-girls・Flowerのメンバーとして活躍され、2015年からは、“女の子が発信するメンズファッション”という新しい試みのユニセックスストリートブランド「BLIXZY(ブライジー)」のトータルプロデュースを行う武藤千春さん。

現在は東京と長野県小諸市での二拠点生活を送り、ご自身で農業に取り組みながら、フードロス課題解決に向けた規格外野菜のレスキュー活動も行うなど、「有言即行」をテーマに、新しい生き方や価値観を発信されています。

そんな武藤さんに、グループ卒業以降の多彩な活動や、精力的に魅力を発信している農業について、さらに、ご自身の“原点”だという音楽への想い、大切にしていることなど、色々なお話を伺いました。
 
ーー武藤さんは2014年までダンスグループE-girls・Flowerで活躍され、翌年の2015年にはアパレルブランドを立ち上げるなど、独立して活動をしていらっしゃるかと思います。グループから個人での活動に移行しようと思ったきっかけ、またその頃の心境などを教えていただいてもよろしいでしょうか?
 
幼い頃から歌やダンスに熱中し突き進んできましたが、20代を目前にした時「一度きりの人生いろんなことを経験したい!縦幅だけじゃなく横幅も広げたい!」と、そんな想いで環境をガラッと変え、新しい挑戦をしてみようと独立しました。グループで活動していた当時は自分ができないことは周りの仲間やスタッフの方々が助けてくれていたけれど、いざ自分ひとりになったら「私はどこまでできるんだろう?」という不安とワクワクも感じていました。
 
ーー独立後の最初の活動として、アパレルブランド「BLIXZY(ブライジー)」の設立を選ばれたのはなぜだったのでしょうか?
 
グループを卒業すると決めた時はその先のプランを何も決めていなくて、今までやってきた音楽活動や働く場所、収入など何もかもなくなった時、私はどこに心動かされ惹かれるんだろう?と、そんな自分のありのままの心の動きをキャッチしたいという気持ちでニューヨークをはじめ、国内外問わず様々な場所に足を運び、色んな人たちと出会いました。

そんな中で私が心動かされたのは物作りとファッション。思い返せば幼い頃から物作りが好きで、家では一人でずっと図画工作をしていたし、ヒップホップやR&Bなどのブラックミュージックを聴く時も、音楽はもちろんレコードジャケットやMusic Videoに映るアーティストたちのファッションにいつも刺激を受け、真似をしているような、そんな幼少期でした。

グループで活動している当時もストリートファッションが大好きで、海外の映画やMusic Videoに出てくる洋服やスニーカーを買い集めていたんですが、そんなファッションを見た応援してくれていたファンの方々が私のファッションを真似してくれるようになり…今までは自分がアーティストたちを真似ていたけど、自分もそうやって音楽以外の部分でも発信できるんだ!と思ったのは大きな自信に繋がったような気がします。

でもグループを卒業した当時はデザインも経営も何もかも勉強しておらず無知で、まさか自分が会社やブランドを作れるなんて全く思っていなかったので、最初は趣味で自分の名前からCHIIIという文字をとってキャップを作り、友達に配ってました。SNSを通じてそのアイテムを見てくださった方々からたくさんのお問い合わせをいただき商品化し、そこからBLIXZYが始まりました。

ーー現在は長野県小諸市と東京を行き来する二拠点で活動されています。東京出身の武藤さんがこの場所を選んだ理由・きっかけはなんですか?
 
祖母が小諸市に移住したいと決めたことがきっかけです。最初は祖母一人で移住する予定だったので、何度か一緒に付き添いながら一人暮らし用の家探しをしていました。私自身それまで小諸市には行ったことがなく、どんな場所かも全くイメージできなかったのですが、家探しをしながら街を歩いたり、何度も東京から行き来しているうちに、小諸市のアクセスの良さや街の魅力に惹かれ、「ここなら今の活動を続けながら、贅沢に都市部と田舎の良いとこ取りをして暮らしをカスタマイズできるかも!」と思い、私も住むことに決めました。

田舎暮らしにはずっと憧れがあるけど20代ではまだ無理かも?と決めつけてしまっていましたが、自分の合ったバランスを見つけることで二拠点生活や移住へのハードルがぐっと下がりました。

ーー小諸市では農業にも挑戦されています。農業の魅力はどんな部分ですか?
 
東京だけに暮らしている時は、働くために食事をとり、旬もわからず、消費ばかりの毎日でした。小諸市で農ライフを始めてからは、自分が自然の中で生きているということや食べ物が食卓へ届くまでは多くのプロセスがあり色んな人が関わっているということ、毎日美味しいご飯がいただけるということがどれだけ素晴らしいことか、一見当たり前のことのように感じますが、これまではその視点をとても疎かにしてしまっていたんだなということに気づかされました。人間として必要な感覚や営みが農ライフには詰まっていますし、農ライフを通じで出会う人々は本当にクリエイティブで刺激的で魅力たっぷりです。農を暮らしに取り入れてからは物事の感じ方や考え方がガラッと変わりました。

ーーYouTubeチャンネル『むとちゃんねる』ではそんな農業の様子を公開されています。農業の様子も含め、今後はどんな動画をアップしていきたいなど展望はありますか?
 
農ライフをはじめるまでは「農業」と聞くと、大変で自分の暮らしとは遠い場所にあるような、そんなイメージを持っていましたが、実際に触れてみると農って本当に魅力的で面白いんです。きっとこれは小諸に来なければ気付けなかったことで、都市部で生活しているとなかなかそこに気づけるきっかけってなかったような気がします。そのきっかけにまだ出会えていないZ世代やミレニアム世代などの同世代の若者に向けて、農ライフの魅力を伝えることで暮らしや人生の選択肢が増えたらいいなと思っています。

今年はYouTubeやSNSなどで多面的に発信していきたいですね。あとは全国にはたくさんのイケてて面白い農家さんたちがいて、そこには十人十色の農ライフがあります。そうした全国にいるカッコイイ農家さんたちを通じて色んな農ライフを届けていきたいです。

ーー昨年12月には、サウンドプロジェクトのクラウドファンディングを開始されました。また音楽を始めたいと思ったきっかけはなんですか?
 
幼い頃から母親の影響でブラックミュージックばかりを聴き、小学生からは歌とダンスを習い始め表現する楽しさを知り、10代はアーティストとして活動し音楽に全てを捧げてきました。やはり私の原点は音楽です。

19歳でグループを卒業してからは一度は音楽という場から離れてしまいましたが、以前担当していたラジオ番組の中で立ち上がったサウンドデザインプロジェクトを機に「やっぱり音楽で自分を表現するって楽しい!」と気付きました。そんなことを思っているうちに、自然と曲が書けるようになり、素直な気持ちを音に乗せることができたので、これを形にして届けてみよう!と、一歩踏み出してみることにしました。
 
ーーこのサウンドプロジェクトでは、武藤さんが作詞・作曲されたオリジナル曲が披露されます。楽曲を作成したことがなかったとのことですが、楽しかった・苦労された点など何かありますか?
 
楽曲を作っている時はリリースすることは考えていなかったので、格好つけずに見よう見まねで作っていたんですが、これがとても楽しくて。SNSやブログなどで自分の想いを言葉にすることは昔から好きだったんですが、やはり不特定多数の方が見る場所なのでどうしても綺麗で当たり障りのない言葉を選んでしまう。でも音楽の中ではもっと自由にありのままの言葉を音に乗せることができて、今まで見たことのない自分に出会えたような気がします。書き始めると結構スラスラと、あっという間に曲が出来上がりました。歌うことはもちろんだけど、自分の想いを形にすることや曲を作ることがすごく好きみたいです。

ーーサウンドプロジェクトを進める中で印象的だった出来事はありますか?
 
仕事として売れるために音楽をやるわけではないから、最初は簡単にいろんな人を巻き込んではいけないような気がしていました。でも、私が発信する生き方や暮らし方、そして綴る言葉に共感して想像以上にたくさんの方が手を差し伸べてサポートしてくれて…本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 
ーーご自身のペースで音楽活動をされるとのことですが、今回のサウンドプロジェクト以降の活動について何か展望はありますか?
 
まだまだカタチにしたい想いが心の中にたくさんありますし、きっとこれからもそうした体験や経験はたくさん訪れると思うので、これからもありのままの真っ直ぐな言葉を音に乗せて曲を作りたいです。今回は全て自分一人で歌っている曲なので、誰かと一緒に曲作りをするのも楽しそうだなと思っています。

ーー様々なジャンルで活躍の場を広げる武藤さんですが、今後挑戦してみたい活動、気になっているジャンルなどはありますか?
 
今自分がやっているアパレルや農ライフ、これからスタートする音楽活動などを通じて、こういう生き方や暮らし方もあるんだな~ということを引き続き幅広く発信していきたいです。これまでやってきたことや今やっていることの全ては、心が動いたものにただ単純に真っ直ぐ進んでいるだけなので、これからも自分の心の動きをしっかりとキャッチして、子供心を忘れず楽しめたらいいなと思っています。

ーー多忙な日々のモチベーションになっているものはなんでしょうか?
 
自分がやりたいと思えることや楽しめること、心の動きを大切にしているので、きっとそれが自然とモチベーションに繋がっているような気がします。他人軸で選択をしないというのは凄く意識していて、私の場合は他人からの評価やいわゆる世間の常識に当てはめて物事を決めてしまうと、どうしても楽しめずにモチベーションがなくなってしまうんです。きっとそれは自分にとっても関わってくださる周りの人たちにとっても良くないと思うので、常に自分の物差しで見て、選んで、行動するようにしています。
 
ーーこれまでの活動においてターニングポイントだったなと思う出来事はありますか?
 
たくさんあります。音楽に出会えたことも、音楽活動を通じて多くの人に自分を知ってもらい出会えたことも、農ライフの魅力に気づけたことも…挙げ始めるとキリがなさそうです。
 
ーー最後にファンの方達にメッセージをお願いします。
 
久しぶりの音楽活動ということで、今回かなりドキドキしながらこのプロジェクトを立ち上げました。「昔のグループ活動のときのほうがよかった」と言われたら嫌だなとか、そういう不安も正直心の奥にはありました。でも、やっぱりこれまでお話しした通り、自分の物差しでやりたいと思ったこと、届けたいと思ったことを思い切ってカタチにしてみようと勇気を振り絞ってようやく一歩を踏み出しました。その一歩がこのクラウドファンディングです。

このプロジェクトでは自分の想いをカタチにするのはもちろんですが、こんな時期だからこそ、プロジェクトを通していろんな人とこの挑戦を楽しんだり、一緒にワクワクしたいと思っています。これからも心動かされたものを発信して、シェアしていきながら楽しい未来を皆さんと作っていけるように頑張ります!

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