舟津真翔×川崎鷹也、TikTokは“夢を感じる場所”「広まっていけば、載っちゃうんだ」
TikToKなどのSNSを中心に人気を集めているシンガーソングライターの舟津真翔さんと川崎鷹也さん。
舟津さんは、2017年に15歳で島根から上京し、2018年にメジャーデビュー。2020年にTikTokで公開された『#君と僕とが出逢った日』は、同曲を使ったカップル動画やカバーが拡散され、多くの反響を呼びました。先日には、新曲の『ハンブンコ』もリリースされています。
川崎さんは、2018年にシンガーソングライターとして本格的に音楽活動を開始され、2020年8月には、TikTokで『魔法の絨毯』が人気となり、さまざまなランキングやチャートにランクイン。大きな注目を浴びました。
今回は、そんなお二人のスペシャル対談が実現!普段から仲がいいというお二人の出会いから、楽曲を制作する上で大切にしていること、そしてTikTokといったSNSに対する考え方などをたっぷり語っていただきました。
ーーまず、お二人がお互いを知ったきっかけを教えていただけますか?
川崎鷹也さん(以下、川崎):出会いといいますか、僕が一方的に真翔君を知ったのが、たぶんキッカケです。違うかな?
去年の9月くらいから、TikTokで、『魔法の絨毯』をいろんな人がカバーしてくれるようになって、ダンス動画などいろんなところで僕の楽曲を使って下さる方が増えたのですが、僕もそれが嬉しくて、楽しくて、色々と調べて、見て回るということをやっていました。
その時に、真翔君が弾き語りで『魔法の絨毯』を歌ってくれている動画を見つけたんですよね。最初に、「うわあ、めちゃめちゃうまい人が動画をあげてくれてる」って思ったんですよ。その時の僕の直感ですけど、「ただの弾き語りの人じゃないな」と思ったんです。声もそうだし、テクニックも。
弾き語りをただあげている人というよりは、シンガーソングライターとして活動していく上での自分の歌いまわしだったりが、「この人は、他の人と違う」という印象だったんですよ。なので、頭にずっと残っていたし、印象的だったし、「すごい人がカバーしてくれた」と単純に思ったのが、キッカケです。
それで、うちのスタッフや社長にも、「この人すげえ」と言いました。そこが僕目線としては、一番最初です。
舟津真翔さん(以下、舟津):僕自身、鷹也君の曲は聞いた瞬間に本当に大好きで。鷹也君の曲は歌っていて僕も合うんです。なのでもう、「これいい曲。僕にも合う」と思って、あの時は速攻でカバーしました。
ーーアーティストとして、お互いにすごいなと思っているところはあるのでしょうか?
川崎:そうですね。アーティストとして弾き語りはすごく難しいし、シンプルかつダイレクトに伝わるものなのですが、漠然とした言い方になっちゃうんですが、真翔君は“分かってる”。
ギターと歌って、全く違うことをしているようで、感覚としては一体化してるんですよ。弾き語りをすればするほど。
真翔君は、アコギ(アコースティックギター)と歌がすごくフィットしているんですよ。別物じゃなく聞こえるし、アコギを弾いているニュアンスと歌のニュアンスの合わせ方だったり、歌いまわしだったり、細かいテクニックだったり、もちろんビブラートやこぶしだったりと、いろんな細かいスキルが真翔君にはすごくあります。そこは僕もすごく勉強になるし、真似したいなと思います。
あとは、真翔君の楽曲も好きだし、コード感も好きだし、メロディーラインも好きだし、歌詞の世界観も似ているといったらおこがましいのですが、何気ない日常を切り取っていたりとか、誰もが共感できそうで、大人の方が聞いたら若いあの頃を思い出せるとか、若い子たちにはリアリティーがあったりとか。そこの方向性みたいなものが、僕もそこに行きたいと思っているし、そこの感性だったり、歌詞を切り取る感覚だったり、言葉遣いだったりが、すごく好きです。
舟津:TikTokライブで鷹也君とコラボする機会が何回かありました。その時にも毎回思っているのですが、鷹也君は歌が素晴らしいのは当たり前なのですが、MCから歌へ行くまでの流れが、「本当にすごい」と思います。
歌とMCの流れを見たら、「この人、ライブパフォーマンス、やべえんだろうな」と。TikTokライブを見ていても、歌とMCの繋ぎが毎回、「すごいな」と思います。だからぜひ、生で聴きたいなと。ライブを聴かせて頂きたいです。
川崎:嬉しいです。
舟津:鷹也君に褒められてばっかりですけど、鷹也君の曲も全部、本当に好きなんです。これ伝わりますか?(笑)それくらい本当に大好きなんです。本当にリスペクトしているアーティストの方の1人です。
ーーお互いをリスペクトされあってるんですね!それでは、これまでの活動についても教えてください。まず、それぞれの音楽活動のルーツはどこにあるのでしょうか?
舟津:僕は3歳の時に、ゆずさんを見て、ゆずさんに憧れてギターを始めました。なので、ルーツといったら、ゆずさんです。
川崎:そうなんや。3歳からやってんの!そりゃ上手いわ!
僕はそんな大層なものはなくて、高校の2年生くらいまで何もしてなかったんですよ。栃木のド田舎で、本当に、ただただダラダラ過ごすという激ヤバな人生を歩んでました(笑)。
「このまま行ったら、単純に就職して、終わる」って思いました。でも、それが嫌で。漠然とビッグになりたい、有名になりたい、という若気の至りがまずありました。正直にいうと、会社の社長さんでもいいし、カリスマ美容師でも、何でもよかったんですよね。
でも、「せっかく有名になるんなら何でなる?」と考えた時に、「自分の好きなものでなった方がいいな」と思って、「じゃあ好きなものは何?」となった時に、特に無かったんですよ。特に無かったんですけど、僕の親父が栃木の田舎でライブバーをやっていることもあって、なんとなく音楽が近くにあったんですよ。弾いたことはないけど家にギターがあって、親父はなんか音楽関係の仕事をしてて、みたいな。
音楽が身近にありすぎて、それを仕事にするという感覚が無かったのですが、栃木は田舎で本当に何もやることがないから、カラオケかボーリングをするしかないんですよね。それで、カラオケはよく友達と行っていて、歌を歌うことは好きだったんです。「じゃあ、歌でビッグになれたら嬉しいな」というぼんやりとした気持ちがあったことが最初のキッカケです。
そこに至るまでに音楽をたくさん聴いていたかというと、そんなこともなくて。10代の頃、第一線で活躍されている王道J-POPミュージシャンの方の音楽はよく聴いてましたけど、洋楽とかぜんぜん通ってないし。他の音楽もそこまで聴いていた訳ではなかったので、ルーツと言われると、「この人に憧れて音楽を始めました」というのが無いというのが、ぶっちゃけたところです。
ーーデビュー当時や、駆け出しの頃の印象的な思い出はありますか?
舟津:上京してからデビューする日に、初めて「あつぎミュージックフェスティバル」という大きなステージに立ったことですね。
そのイベントのオーディションがあって、そこで大賞になると、「あつぎミュージックフェスティバル」にも出ることができ、メジャーデビューもできるという特典があったんですよ。そこで、大賞をいただいて。
その「あつぎミュージックフェスティバル」は、厚木市文化会館という大きなホールで開催されたのですが、そのステージに立った瞬間の光景が一番印象的かなと思います。
川崎:そうなんだ。今日、めちゃめちゃいい話が聞ける!
舟津:そうなんです。
川崎:僕は、高校を卒業した18歳で栃木から上京してきました。ただ、上京してくる時は、本当に何も無かったんです。
ギターももちろん弾けなかったし、オリジナル曲も1曲もないですし、人前で歌ったこともないし。歌を歌うことが好きな何もない少年がただただ東京というところに出てきたという感じでした。
なので、本当に僕は不安しかなかったです。友達ももちろんいないし。何かの経験があるわけでもないし、“変な自信しかない”みたいな。人前で歌ったことも無いくせに(笑)
(舟津さんの出身地)島根も一緒かもしれませんが、風景からして、栃木には自然しかないし、高いビルなんて一個も無いし、というところなので。東京はもう空気の匂いも違うし、人の流れも違うし、何もかもが違かったので、不安と緊張と……という感じでしたね。それが思い出かな。
ーーそれでは、お二人の楽曲制作についても教えてください。楽曲を制作する上で大切にしていることは何ですか?
川崎:何気ない日々だったり、何でもない毎日みたいなものを切り取りたいなと思っています。奥さん、子供を含めてですけど、自分の一番大事な人だったりに届けばいいや、という1点しか僕にはなくて。
世間の皆様に分かってもらいたい、共感してもらいたいというのは、正直、ベクトルとしてはそんなに強くないです。奥さんが分かってくれればいい、というところがあります。
結果的に『魔法の絨毯』だったりにいろんな方が共感してくれているのですが、根本的には、本当にもう、1人の人に向けて書いているというところは忘れないようにしたいな、というのは大切にしていることですね。
歌詞に関しては、僕が思っていることや、歩んできた人生で感じたこと、言ってきたこと、言われてきたことを織り込むようにはしています。リアリティと想像の割合では、8割、9割がリアリティで、1割、2割は理想だったり、希望だったり。でも、あくまで、自分が見た景色や色を入れるのが、こだわりとしてはあるかもしれないです。
舟津:最近はラブソングばかりを出しているのですが、最近の曲は何気ないカップルのささいな日常に寄り添えるような曲ができているのではないかなと思います。
歌詞は、最近は、最初のフレーズを意識して作っているかもしれないです。『#君と僕とが出逢った日』だったら、『#君と僕とが出逢った日』という最初のインパクトとメロディーと、という最初のフレーズは意識して制作しています。
ーーお二人は多くのカバーもされていますが、カバーをする上で意識されていることはありますか?
川崎:リスペクトを置いている人のカバーをさせてもらうことが大前提です。感謝だったり、歌わせて“頂いている”という気持ちを忘れてはいけないということと、コピーにならないようにしていることです。
真翔君の『#君と僕とが出逢った日』だったり、『さくらロール』だったりを歌わせて頂くことになった時に、真翔君とまったく同じ歌い方をしても真翔君に敵うわけないので。また、同じことをやっても、「真翔君のを聴こう」って思うじゃないですか。
なので、自分のエッセンスだったり、もちろんメロディーを変えるつもりはないですけど、歌いまわしといいますか、色というか、個性というか、そういうものは意識しているかもしれないです。
舟津:僕も大前提として、リスペクトしているアーティストさんのカバーをやらせてもらっていますが、聴いた瞬間に、「自分の声に合うな」と思った曲を歌うようにしているかもしれないです。自分色になるようにフェイクを入れてみたり、という感じです。
ーーお二人の楽曲はTikTokで広く支持されていますね。そのようにTikTokで話題になって楽曲が広がることについては、どのように思われますか?
舟津:今ってTikTokからヒットが出たりするので、それはこれからもたくさん活用していきたいなと思っています。自分の楽曲をこんなふうにリスナーが受け取って、こんなにふうに広まっていくんだというのが目に見えて分かるので、新鮮で面白いです。TikTokのコメント欄で曲を作ることもあるし、面白いなと思います。
『#君と僕とが出逢った日』はそれこそ、こちゃにカップル(カップルYouTuber)がいて、こちゃにくんという彼氏の方が僕の『Dreamer』という曲を好きでいてくれて、僕もそれを知って、「ぜひ、こちゃにカップルに向けた曲を作りたいな」と一方的に思って生まれました。こちゃにカップル動画で、「#○○」というのがたくさん出てきて、「あ、ハッシュタグ、いいな」みたいに思って、そこから、「#君と僕とが出逢った日」という最初のフレーズができました。TikTokのコメント欄ではないですが、動画で作った曲があります。
川崎:真翔君が言ってくれたように今はいい時代ですし、それこそリスナーのみなさんのリアルなリアクションが見れることもメリットだと思います。
僕が思うのは、誰にでもキッカケがあるメディアなので、プロとかアマチュアとかがすごく曖昧なんですよね。僕も実際にメジャーデビューしてるかと言われると微妙なところなのですが(笑)、だからこそ、今の学生のみなさんだったり、ライブをしたことがない方にも同じようにチャンスがあるのが、SNSであり、ソーシャルメディアだと思います。
リアクションという意味では、TikTokのリスナーさんは素直だし、顕著に表れると思います。僕はTikTokにガンガン投稿しているタイプではなくて、今は告知とかでしか使う機会はなくなってしまっているのですが、楽曲をあげた時に、いいものだったりすると、「いいね」の数も、コメントの数も多いですし、そうでもないものはそんなに伸びないです。曲に対して優劣を言うわけではありませんが、反応に対する優劣は顕著に表れます。
あと、TikTokは、コメントのしやすさ、フットワークの軽さがほかのSNSとは段違いだと思います。YouTubeのコメントや、ツイートのリプライとか、インスタのコメントに比べると、TikTokのコメント欄は、「なんでみんなあんなにコメントしてくれるんだろう」というくらい、すごいです。なんでなのかは僕も分かんないですけど、反応の食いつき度合いが他とまったく違います。
ーーTikTokの反響の大きさを感じたエピソードがあれば教えてください。
川崎:僕に関しては、TikTokがなかったらここにいないです。TikTokで『魔法の絨毯』をみんながドーンって使ってくれて、そこから、LINE MUSICでアルバム単位でランキング1位になったりとか、それが1週間続いたりということがあって、そこからSpotifyで半年間1位を取り続けたり、そこからApple Musicでトップ10をずっと取って、みたいな。
それって全部、TikTokがキッカケだと思うので、未だに、「TikTok、アザっす」という状態です(笑)。未だに、何億回とかテレビで言って頂くのは、TikTokの数字ですし。そういった意味では、去年の8月からずっと影響し続けているかもしれません。
舟津:僕も鷹也君と一緒で、「TikTok、アザっす」状態です(笑)。『#君と僕とが出逢った日』もリリース前に、TikTokにあげてそこから広まって、リリースで初登場1位、デイリー2位とか。でも、その時は、ランキングに載ること自体がすごく不思議でした。
今まで僕が聴いていたアーティストの人とランキングで並んでいるという状態が、すごく嬉しいけど、「ここに載るの?」みたいな、いろんな気持ちがありました。でも、「TikTokでここまで広まっていけば、載っちゃうんだ」という夢を感じました。
ーー今後お二人のコラボ活動の予定はあるのでしょうか?
川崎:もちろん、SNSでのコラボや、インスタライブでのコラボも真翔君とこれからもやらせて頂きたいなと思いつつ、僕はあくまで、ライブステージでお客さんにフェイス トゥ フェイスで何を伝えられるのかということに重きを置いているので、同じステージで歌えたらいいなとも思っています。
あとは、もちろん今はこのご時世なのでできないのですが、野外フェスを僕が組みたいと思っていて、そうなった時に、本物のミュージシャンだったり、歌に愛を持って、弾き語りに愛を持っているミュージシャンをたくさん呼んで、これからの音楽業界を担う人たちで一緒に盛り上げていけたらいいなと思っています。
舟津:僕も一緒です。ぜひ、フェスに呼んでください。今はこのご時世なのでできなかったり、人数制限があったりするのですが、僕も本当にライブが好きなので、生で届けるライブをメインでこれからも頑張っていきたいと思っています。
ーー今後の目標や夢を教えてください。
川崎:僕は、東京に出る時からずっとやりたいことがひとつあって、それは「FUJI ROCK FESTIVAL」のメインステージに出ることです。僕の勝手なイメージですが、「FUJI ROCK FESTIVAL」を見ていて「本当の実力者の集まりだな」と思うし、外国のバンドが出たりなどバラエティにも富んでいますし、見に来るお客さんも音楽を楽しみに来ている方ばかりだなという印象があるので、「FUJI ROCK FESTIVAL」には憧れを持っています。
僕のやっているジャンルは「FUJI ROCK FESTIVAL」に合うのかと言われると、難しいところもあるのですが、いつの日か、「FUJI ROCK FESTIVAL」のメインステージに出たいです。
そこで、ワンフレーズでもいいのでアカペラで歌いたいので、弾き語りで出たいです。アコギと歌一本で、「FUJI ROCK FESTIVAL」のあのメインステージに立つことがひとつの目標で、その中で、ワンフレーズでもいいからアカペラで歌うことが僕の夢です。
舟津:ゆずさんに憧れたと言ったのですが、“ゆずさんのライブをしている姿”に憧れたので、僕もいつか、アリーナとかドームを埋められるようなアーティストになることが小さな頃からの夢です。
ーー最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。
川崎:今、僕らもライブをなかなかできないですし、お客さんも行きたくても行けないという時期が続いていて、やりたいことができなかったり、友達と会えなかったり、家族にすら会えなかったりすることもあるという状況が続いています。音楽は生活になくてもいいものではあるのですが、そんな時こそ音楽があることで「頑張ろう」と思えたり、いろんな感情が湧いたりするのかなと思います。
今のこのご時世の中で無理に頑張る必要はないし、今のこのご時世だからこそ、ぜひ音楽に逃げてきてほしいなと思います。その逃げてきた先で、みなさんを受け止められるように待っています。
舟津:この職業は、支えてくださる方がいないと成り立たないので、まずは、本当にいつもありがとうございます、という感謝をいつでも忘れないでいます。いつもSNSのDMなどに支えられていますし、ファンの方も「僕の歌に支えられている」と言ってくださいます。なので、これからも支え合う素敵な関係でいたいなと思います。これからも、よろしくお願いします。