Hilcrhyme、活動休止、そして再始動に向けた現在の心境を明かす

2018.6.27 12:00
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Hilcrhyme

昨年12月の突然の活動休止、DJ KATSUの脱退を経て、Hilcrhymeが再始動します。

活動休止の影響で、音楽配信、CD販売が全て差し止めになっており、Hilcrhymeの音楽が手に入らないという状況の中、7月4日に、「アタリマエ」「Good Luck」「愛更新」の新曲3曲と「ルーズリーフ<Remake>」「涙の種、幸せの花<Remake>」のリメイク2曲を収録したニューEP「One Man」をリリースします。

9月には“新生Hilcrhyme”として、自身初の日比谷野外音楽堂でのワンマンライブでHilcrhymeを始動させるTOCが、「インタビューほど、公明正大に語れることってないですね」と言いながら、活動休止時の心境から、ニューEP、再始動ライブに向けた熱い思いを語ってくれました。

ー今回再始動されることが決定した訳ですが、その前にDJ KATSUの脱退がありました。それについて思うことはありますか?

はっきり言って、相当怒ってます。脱退をして、違う人生を歩んでいるのでもういいんですけど、それでも自分のしたことの大きさを分かってないように見えたんです。何億っていう損害と、何百何千人っていう人の生活に影響及ぼしているのに。ただ、自分の中でバッドバイブスにならないことが大事だと思うから、更生して幸せになって欲しいと思っています。

ーニューEP「One Man」に収録されている新曲を作ったのはいつ頃ですか?

曲を作ったのは、3月から4月にかけてだと思います。3月にKATSUが脱退しました。その後、日比谷野外音楽堂で復活ライブを9月に開催するということを4月に発表して。そして、そのライブのためにEPを1枚リリースすることを発表しました。

ニューEP「One Man」のジャケット写真は日比谷公会堂で撮影された
ニューEP「One Man」のジャケット写真は日比谷公会堂で撮影された

ーでは、日比谷野外音楽堂(日比谷野音)でのライブが決定して、まずはライブで自分を表現しようというのが再始動のきっかけだった?

復活の狼煙を上げるのは、ここなんじゃないかと思ったんです。脱退という結論があって、この9月に向けてHilcrhymeを再始動していくことが目標になると思いました。

ー日比谷野外音楽堂を再始動の場所に選んだことに意味はあったんですか?

実は、日比谷の野音は初めてなんです。ただ、ここは色々な伝説が生まれてる場所じゃないですか。我々のHIPHOP世代だったら「さんピンCAMP」(1996年7月7日に日比谷野外音楽堂で開催されたHIPHOPイベント)だし、僕は知らなかったのですがキャロルさんの解散ライブが行われていたりとか。とても色んな物語が生まれている場所だから、今回の復活ライブにめちゃくちゃ相応しいなと思いました。

1stアルバム「リサイタル」のジャケット写真は、コンサートホールの写真
1stアルバム「リサイタル」のジャケット写真は、コンサートホールの写真

ーニューEPのジャケット写真も野音を撮影したものですよね?

復活ライブを一人でも多くの人に見て欲しいという気持ちも込めて、このジャケットにしています。でも一番強いのは(2010年1月にリリースした)「リサイタル」という1stアルバムのオマージュにしたかったという思いです。
※1stアルバム「リサイタル」のジャケット写真は、コンサートホールの写真。

今後の作品は「Hilcrhymeの王道を行きたい」
今後の作品は「Hilcrhymeの王道を行きたい」

ーEPのタイトル「One Man」は、とても分かりやすいですよね。

いいタイトルが出来ましたね。“ワンマンライブ”って言葉があるじゃないですか。文字通り、9月の復活ライブはワンマンライブだなと思って。ライブって、タイトルにも左右されると思うんですけど、このタイトルは自分の中でかなりしっくりきました。色んな意味でのワンマンだから。

例えば、ライブって意外と一人で来るお客さんとかって多いんですね。「一緒に行く人がいません」とか。「一人でも楽しめますか?」ってたまにSNSとか質問されるんですけど「大丈夫。俺も一人だよ」って返したりして(笑)。だから、一人だけど一人じゃないぞという意味の「ワンマン」でもあるし。元々ライブタイトルとして「One Man」があって、このライブタイトルがあまりにもよく収まったから、そのままEPもこれにしようという流れでした。

ー新曲はどれもすごく愛のある曲たちですよね。なのにタイトルは「One Man」。少し素直じゃないなという感じもするのですが(笑)

その通りですね。もちろん、一人はあんまり好きじゃないです。みんなとワイワイしてる方が好きだし、大切な人といる時間は人よりも大事にする方だと思うし。ただ、やっぱり、一人になりたくはないけど、一人の方が確かに決断早く、気楽ではあるんです。これは知り合いのアスリートが言ってたんですけど「孤独と戦うものは一握りの人の使命だと思うから。寂しいを乗り越えてみんな一流になってる訳だから」っていう言葉を思い出して。「いいじゃないか、ワンマンでいよう」っていう感じですかね。

ー新曲は、全体的にミディアム系の楽曲ですが、何か特別な意味があったんですか?

ミディアムバラードを中心に組みたかったという思いはあります。今後のリリースに関しては、Hilcrhymeの王道を行きたいと思っていて、分かりやすくHilcrhymeでありたいと思いました。理由の一つは、久しぶりのリリースでもありますし、Hilcrhyme自体が大きく揺れる出来事があったので、しっかりとまた根本を作りたかった。もう一つは、一人でHilcrhymeの曲を作るわけだから、TOC一人でも本当にHilcrhymeになるのか?ということに、しっかり向き合っていかなければと言う思いがあったこと。そして、今回それは出来たと思っています。

「今はHilcrhymeのことで頭がいっぱい」
「今はHilcrhymeのことで頭がいっぱい」

ー一人のHilcrhymeとして楽曲制作はどのように行ったんですか?

Hilcrhymeを一人でやる、曲を作るという時に、今までの12年間に出した7枚のアルバムを指針としようと思いました。Hilcrhymeとはなんぞやというところからのスタートです。でも、ちゃんとその指針があるからやりやすかったですね。

結成してからの12年っていうのは、やっぱり長かったです。いろいろあったし、成功も失敗も見たし、いろんな人が関わったし。だから、そういう礎があるから(曲を)作るのは簡単だったというか。それがちゃんとHilcrhymeの曲になったら、多分今後も大丈夫だなと思ったんです。

ーTOCさんは以前からソロプロジェクトも展開していましたが、今後、Hilcrhymeとの住み分けはどうする予定ですか?

TOCをやりたい気持ちはあるんですが、今はとにかくHilcrhymeが最優先ですね。しばらくTOCは出来そうにないです。音楽性の差は結構簡単に付けられると思うんですが、今はちょっとHilcrhymeのことで頭がいっぱいというか…。

Twitterでは新しい層に認知され「やっぱ言葉なんだな、僕は」と実感していると言う
Twitterでは新しい層に認知され「やっぱ言葉なんだな、僕は」と実感していると言う

ーTOCさんの紡ぐ言葉には、とても強い説得力があると思うのですが、それを自分で感じたことはありますか?

Twitterが最近それで跳ねてるんですよ。“めっちゃいいつぶやきをする人”っていう位置付けで。最近のフォロワーは、僕をミュージシャンとしてフォローしてるんじゃなくて、“Twitterに存在するいいつぶやきをする人”として僕をフォローしてくれてるんですよね。全く新しい方々がそこで自分を知ってくれているので、「やっぱ言葉なんだな、僕は」って思いましたね。

ーTOCさんの書かれる詞は、聞くだけで情景が浮かんできたり、聴く人によって色々な解釈ができるものが多いと思うのですが、その辺は意識して書かれているんですか?

普通にやってるんですけど、長くやってるとそれがわからなくなる時があるので、そう言われるのは嬉しいですね。解釈が分かれる曲っていうのは、全くそういうのを狙って書いてはないんですよ。それが大事なんでしょうね。狙わずに書くけど…あぁ、難しいな。ただ、狙わずに書いているのは間違いないですね。

最近ネット上でHilcrhymeに対するあるコメントを見つけたことがあったんですけど、その中でとても心に刺さった言葉があって。「TOCのリリックはクサすぎるくらいが丁度いい」で、それが「これはディスではない」と。「リスペクトを込めてクサい歌詞をこれからも書いてって欲しい」って。「あ、これが、僕が一番言われたかったこと。ずーっと言われたかったこと」って思いましたね。

クサいとダサいって隣り合わせなところがあるからディスの対象になるんですよ。それに辟易してた時期もあったんです。でも、そんな必要全くなくて、これでいいんだと今やっと思うんですよね。すごいいいコメントでした。さらに「もう一度言うこれはディスではない」って書いてあったから(笑)。

ー最後にファンの方に一言お願いします!

新生Hilcrhymeをぜひ見に来てください!

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