ファーストサマーウイカ『光る君へ』視聴者の心を掴んだ“ききょう”の裏に真摯な役作り
現在放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』に、清少納言(ききょう)役で出演しているファーストサマーウイカ。5月26日放送の第21回「旅立ち」では、『枕草子』誕生の瞬間が感動的に描かれ、話題を呼んだ。そこで本記事では、特に視聴者からの反響が大きかった場面を紹介しながら、彼女の演技の魅力に迫りたい。
大河ドラマ『光る君へ』は、平安時代に千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた主人公・紫式部(吉高由里子)が、変わらぬ愛を胸に懸命に生きる姿を描く物語。そんな本作でウイカが演じるのは、随筆『枕草子』を書いた才気煥発な女性・清少納言(ききょう)だ。敬愛する藤原定子(高畑充希)へ心からの忠誠を尽くす姿がSNSでも話題となっており、「ききょうの姿は推しを愛する我々そのもの」「感情移入しまくり」と、視聴者からも共感を集める登場人物の1人となっている。
そんなききょうの名シーンの1つが、5月26日に放送された第21回「旅立ち」での一幕だろう。同話では、失意の底にいる定子のため、ききょうが筆をとり、「春はあけぼの」と綴り出すという『枕草子』誕生の瞬間が描かれた。台詞のないシーンであるものの、静かに墨を磨って机に向かう丁寧な所作や、定子を想い、優しく微笑みながら筆を走らせるききょうの姿が、「スラスラとした筆の動きがぴったしだしカッコいい」「なんて美しい数分間」「台詞なしでもききょうの気持ちが痛いほど伝わるすごい」と注目を集めた。また、ウイカは自身の公式Xの中で、「枕草子のシーンは 紙と細筆に向き合い何時間も稽古しました」と、空き時間に何度も枕草子の一文を書いて練習したことを明かしており、こうした細やかな努力が大河ドラマで清少納言を演じる上でのリアリティに繋がったと言えそうだ。
また、7月21日放送の第28回「一帝二后」でも、定子とききょうの実に印象的な場面が描かれた。妊娠中で体調の優れない定子を気遣うききょうに、定子は感謝し、「そなただけだ。私の思いを知ってくれているのは」「いつまでも私のそばにいておくれ」と伝える。ききょうは感動し、「私こそ、末永くおそばに置いていただきたいと念じております」と伝え、2人は笑い合う。そしてその年の暮れ、定子が出産後に急逝したことがナレーションで明かされるという何とも切ない展開となった。公式サイトに掲載されている高畑のインタビューでは、高畑はウイカについて、「撮影中はずっと『定子様』と呼ばれていましたし、プライベートでも定子と清少納言のもう少しラフな感じの関係性を築いてくれた」「良い意味でフラットな気持ちで撮影に臨むことができました」と、彼女への感謝を明かしている。ウイカが撮影の現場以外でも真摯に役に向き合っていたからこそ、高畑とも信頼関係が芽生え、視聴者の胸を打つ名場面が生まれたのだろう。
確かな演技力で、初出演となる大河ドラマでも存在感を発揮しているウイカ。今作での経験が彼女の女優業にも活かされていきそうだ。いよいよ中盤に差しかかった『光る君へ』の展開と共に、ウイカのこれからの活躍にもぜひ注目していきたい。