渡辺大、俳優生活20年で挑む舞台『マヌエラ』への思い「必死に作品にエネルギーを注入しています」

2023.1.13 17:00
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珠城りょう/渡辺大

映画やテレビ、舞台などで活躍を続ける俳優・渡辺大さん。1月15日(日)から東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて上演される舞台『マヌエラ』に出演することが決定しています。

第二次世界大戦直前の上海を舞台に、“上海の薔薇”と呼ばれた実在の日本人ダンサー・マヌエラの愛と激動の半生を音楽×ダンス×芝居で描く今作は、1999年1月以来、24年ぶりに上演されるというリメイク作品。数々の名作テレビドラマ、映画のシナリオを手掛けた鎌田敏夫氏が脚本を、俳優として存在感を放ちながら演出家としても数々の受賞歴をもつ千葉哲也さんが演出を担当します。

この作品で、珠城りょうさん演じる主人公の永末妙子(マヌエラ)と惹かれ合う、上海に赴任した日本海軍士官・和田海軍中尉役を演じる渡辺さん。

今回は、そんな渡辺さんに、今作についての思いや、舞台の魅力、また今年の抱負などをお話しいただきました。
 

◆20年の俳優生活の中で“大きな力になった”舞台への出演

ーー本作への出演が決まった時の心境を教えてください。
 
渡辺大さん(以下:渡辺):2021年に『魔界転生』という舞台を踏むまでは、舞台経験がありませんでした。そこで映像の仕事とは違う様々な経験が出来たこと、濃密な時間をカンパニーと過ごせたことは自分にとって大きな力になったんです。

そして、この経験をまた活かせないかと思っていた時に、今回『マヌエラ』という作品に参加させていただくことになったので、嬉しい気持ちと心地よいプレッシャーを感じましたね。また今作は1999年以来のリメイクということで20年以上の時が経ってどう作品が変わっていくのかも楽しみでした。
 
ーー渡辺さんからみて、今回演じられる和田海軍中尉とは、どんなキャラクターなのでしょうか。
 
渡辺:演出の千葉哲也さんからは「『軍の象徴』でいて欲しい」と言われました。

セリフの一つ一つ、態度など、僕はある種隔絶された環境で、妙子や村岡などと接しています。戦争や争いに興味のない上海の住人と、戦争を起こすことに迷いなく、正義を貫いていると思っている和田中尉は対極にいるんです。

なので、どれをとっても噛み合わない。そして、最後の最後に自分のアイデンティティが妙子らによって崩されていってしまう。和田中尉は、そんな人間っぽさと「軍の象徴」としての揺れ動くアンバランスさが魅力のキャラクターだと思います。
 
ーー舞台には映像の現場とはまた違った楽しさがあると思いますが、渡辺さんから見た舞台の魅力とは何でしょう?
 
渡辺:20年間、映画やドラマの仕事をやらせていただきましたが、やはり一番の魅力は見た方の反応がすぐ分かるというところだと思います。そして観客の皆様が集中して注目しているのも分かるんですよね。なので、観客の方と一緒に舞台を作り上げているような感覚を覚えます。

あと、全ての公演が全く同じということはないので、お客様や見た時の公演によって色んな感じ方を共有出来るのも面白いですね。

舞台「マヌエラ」
舞台「マヌエラ」

◆「毎日カンパニーのみんなで試行錯誤」団結力のあるキャスト陣

ーーマヌエラを演じる珠城りょうさんとは初共演となりますが、どのような方ですか?
 
渡辺:珠城さんは宝塚時代のステージを何度か見させていただいたことがありました。その時は男役だったのでとても雄々しい姿が印象的だったのを覚えています。

退団してからは同じ事務所になり、今回初めてしっかりと共演するので緊張しましたが、素の珠城さんはとても天然なところがあり、お茶目な部分が稽古中も垣間見えるので、初期の緊張はもうなくなりました(笑)。

沢山話しかけてくれますし、この作品を盛り上げるよう努力して下さっているなと感じますね。
 
ーー渡辺さん自身はマヌエラのような女性に魅力を感じますか?
 
渡辺:和田中尉とマヌエラの相性という意味で言うと、劇中では笑えるぐらい噛み合わない部分が多々あるのですが、僕は素敵な女性だと思います。

とてもサッパリとした性格というか、裏表もなく、人を見下すこともしない、へり下りもしない。国籍も人種も関係なく、お互いが刺激し合える仲間と共にいる。表向きは強い女性ですが、時折見せる優しさや脆さ…。

そして、マヌエラという役の魅力も多分にあるのですが、それを珠城さんが演じる事によってさらに増幅されているような気がしますね。マヌエラの魅力=珠城りょうの魅力、というか。
 
ーー稽古を重ねてきたと思いますが、現場はどのような雰囲気なのでしょうか?
 
渡辺:演出の千葉哲也さんは役者が主体なので、役者の心情に寄り添って演出をしてくれます。穏やかに、無理をせず頑張れる方向を模索しながら毎日カンパニーのみんなで試行錯誤をしているんです。

僕と珠城さん以外の方々は、これまでたくさんの舞台を共にされてきた方が多いのですが、あまり共演経験のない僕と珠城さんも優しく迎えてくれていて、「嬉しいね」とよく2人で話しています。

ダンスチームはみんなラテンのような明るさを持ち合わせているのでこの作品にはピッタリだと思います。(村岡役の)宮川(浩)さんや(杜月笙役の)岡田(亮輔)くんはムードメーカーとしてみんなをまとめてくれますし、感謝です。
 
ーーマヌエラ・和田中尉以外に、渡辺さん自身が注目するキャラクターはいますか?
 
渡辺:「とても難しいなぁ」と思って稽古を見ているのはパックンが演じるパスコラです。

踊りの師匠ということで様々な挑戦があるとは思いますが、ゲイのユダヤ人という役どころが当時のナチスの迫害や、差別の中で生きていく難しさを象徴しなければならないので。

宮崎秋人くん演じるチェンとのやり取りも男女の恋愛よりもとても繊細に扱っている感じがします。パスコラの自由な振る舞いには、パックンのアメリカンな部分がとても生きていて、いつも芝居を惹かれるように見てしまいますね。

舞台「マヌエラ」
舞台「マヌエラ」

◆良いスタートを切った2023年は「心に残るような芝居をしていきたい」

ーーそんな多忙な渡辺さん。毎日の癒しになっているものはなんですか?
 
渡辺:僕は仕事で頭を使うとすぐ眠くなってしまう体質なんです。そしてロングスリーパー。

でも寒いのが苦手でこの季節はなかなか寝付けなかったりして疲れていることが多かったのですが、元々あったオイルヒーターと(ニトリの)Nウォームの布団を購入したおかげで、その悩みが解消されました!この組み合わせが今最高の癒しです。

そして知人から頂いたコーヒーメーカーとロイヤルコナのバニラマカデミアナッツのコーヒーもハマっているんです。バニラのフレーバーがとても気持ちよく、稽古前に一杯飲んでからスタートしていますね。
 
ーー舞台『マヌエラ』からスタートする2023年の抱負などお聞かせください。
 
渡辺:2023年は『マヌエラ』のおかげで本当に良いスタートを切れたと思います。まずはこれを一生懸命頑張って無事大千穐楽というゴールまで辿り着くのが近々の目標です。

そして、今年もジャンルを問わず、ドラマや映画、舞台に精力的に参加していきたいと思っています。一つ一つの作品を大切に、みなさんの心に残るような芝居をしていきたいなと心がけていきたいです。

また、芝居以外の自分自身のキャラクターというものも皆様にお伝えしていきたいとも思っています。
 
ーー最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
 
渡辺:現在は日本だけではなく、世界で暗いニュースが多いのですが、演劇やダンスといった表現は人を豊かにするエネルギーを沢山持ち合わせているなと、今僕が稽古をしながらひしひしと感じています。

カンパニーのみんなと必死に作品にエネルギーを注入しています。

「ダンス、ダンス、ダンス」この言葉の意味とは?
ぜひその答えを、『マヌエラ』を観に劇場まで来てください!

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