梅宮万紗子、初主演映画『リ、ライト』に手応え「次のステップへの応援歌のような映画になった」

2022.9.15 10:00
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梅宮万紗子

1997年にデビューして以来、様々なドラマ・映画をはじめとした映像作品や、舞台などで幅広く活躍する梅宮万紗子さん。

そんな彼女のデビュー25周年にして初の主演映画となる『リ、ライト』が、 9月17日(土)から川越スカラ座、23日(祝)から池袋シネマロサにて劇場公開されることが決定しました。

本作は、川越を舞台に年老いた一人暮らしの照明技師・野口藤吾が自らの心にあかりを灯すまでを描いた、愛とジャズと感動の物語。洞察力のある安定した演技に定評がある演劇界の名優・大森博史さんを共演に、そして長篇脚本「灯影にて」でサンダンスNHK国際映像作家賞2008のファイナリストに選出され、2019年の「おわりはじまり」で第三回キテミル川越ショートフィルムフェスティバル大賞で大賞を受賞、本作が長編初監督作となる一ノ瀬晶監督を迎えています。

今回は、25年のキャリアにして初めて主演に挑んだ映画『リ、ライト』の公開を間近に迎えた梅宮さんに、映画についてや仕事・プライベートについてなどたっぷりお話いただきました。

◆初主演映画『リ、ライト』、現場では演技について“わがまま”に振る舞うことも

ーー梅宮さんは、クラブシンガーを名乗る主人公・水崎洋子を演じられていますが、このキャラクターはどのような役ですか?また、演じるにあたって役作りの工夫などはありましたか?

洋子は強すぎるキャラクターなので、自分をベースに考えて出発することは難しいと考えました。そこで、(共演者の)大森(博史)さんの勧めもあり、モデルを探してみたんですね。ただ、洋子のようなタイプの方は残念ながら私の周りや親戚にもいませんでした。

そんな時に、浅草にある一見さんお断りの飲食店に名物女性経営者がいらっしゃるという噂を聞きつけ、知り合いの紹介で何度かお店に伺って、大人しく観察させていただきました。

お店では女性経営者の方のキャラクターが参考になったのはもちろん、一緒にお店をやられていた20代の可愛い息子さんが以前はちょっとここではお話し出来ないほどヤンチャだったようで(笑)。その話を伺うだけでも、違う世界の勉強でしたね。

ーー共演された大森博史さんとの撮影はどのような雰囲気でしたか?大森さんとの特に印象的なエピソードがあれば、教えてください。

大森さんは、私の俳優仲間からは、とても優しく尊敬されている方として有名でした。演技に関してはとことん深く、繊細で粘り強く探求される方です。

例えば、台本に何気なく書かれている事も、それの背景はどういう事だろうかと常に想いを巡らせていらっしゃるので、ここまでクリエイティブな作業をするものなのかと、共演中は私も豊かな時間を過ごさせていただきました。

ーー本作でのジャズの演奏シーンは、吹き替えや当て振りは一切なしということですが、撮影において大変だったことはありますか?

撮影でのジャズシーンは、自分の喉が強くないこともあり、ラストの歌い上げる所を含めると3〜4テイクが限度だろうと思っていました。

なので、「間違えてはいけない」という気持ちと、ライブだからこその楽しさ、この瞬間までにみんなで何度も合わせて練習してきた事の喜びや緊張感が入り混じって、今でもなんと表現して良いかわからない気持ちになった瞬間でした。

撮影後に大森さんに、あの時の事を尋ねると、「天国と地獄が一緒にあった日だった」との事で、まさに、言い得て妙だと思いましたね。

ーー梅宮さんは本作で映画初主演を飾られましたが、座長として、撮影現場で心がけたことなどはありますか?

今まではずーっと脇役でいたので現場で監督や共演者にも、遠慮していたり、自分で試行錯誤して演じる、というところで留まっていたのですが、今回は、分からないところや自分の希望なども、全て監督にお話できたと思います。

「作品と演技のために私が納得する事が大事で、遠慮したら何か抜け落ちる」という思いから、演技に関することにはあえて“わがまま”な振る舞いを心がけていましたね。

ーー本作で特に注目してほしいシーン・お気に入りのシーンなどがあれば教えてください。

ラストの洋子が藤吾に見送られるシーンが一番好きです。
二人だけにわかる空気が流れていて、お洒落だなぁと思いました。

◆俳優は「役に成長させられる」仕事

ーー梅宮さんは1997年に俳優デビューされ、長年活躍されていますが、ご自身について、過去と現在でもっとも変わったと思うことは何ですか?

経験も増え、どういうことがしたかったのか、欲しかったのか、シンプルになってきたところでしょうか。

昔は、あれもこれも欲しい、そして嫌いなもの、怖いもの、気にする事なども多かったです。

それと比べると、今は演技をするときの取り組み方や周りとの関係性をもっと豊かにすることについては積極的ですが、ほかは結構「どうでもいいなぁ」と思っていて。いい意味でちょっと肩の力が抜けて、ずぼらにもなりましたね(笑)。

ーー約25年の活動の中で、ご自身にとってターニングポイントだと思う出来事はありますか?

5〜6年ほど前に、ずっと好きだった「ヴァギナ・モノローグ」という戯曲を、思い切って演じた時です。

内容が少しセンシティブなものだったので、いろいろな小屋やお店に断られていたのですが、どうしても演じてみたくて何年もその希望を胸に秘めていたんです。そして、ある時、知人に紹介してもらったお店のパーティーで持ち時間をいただき、一人で演じることが出来ました。それが予想以上に「面白い」といっていただけて、自分で表現したいものを、自分からスタートすることの大切さを知りましたね。

そして、それから数年後の2020年に文化庁の「アートにエールを!」という企画に参加することになった際には、ギタリストの細川雅史さんに演奏していただいて動画をアップしたりしたこともあって、より思い出深い作品になりました。

ーー俳優という仕事のどのような点にやりがいや楽しさを感じますか?

役に成長させられるような時ですね。

例えば今回の映画『リ、ライト』で演じた洋子はとても強い役なので、最初はつかみづらかったのですが、「過ぎたことは忘れよう、次へ!」というセリフがあったんですね。それを時々思い出しては「私も、くよくよしないでとにかく前を向いてやってみよう」と切り替えてみたのです。そんな瞬間を重ねることで、それが癖になっていったところもあり、とても成長できたような気がします。

そして、演じるときは常に自分の体と精神を使うので、役の度に、自分の事を見つめることができる事でしょうか。

今は、ちょうど、舞台の稽古中で「とても世話焼きな、ダサいおばさん」という役を演じています。なぜ、このキャラクターは世話焼きなのかな?という疑問から始まって、私ならどんな時に、誰を、必要以上に構ってしまうかな?と考えたときに、私は家族かなと。普段は憎まれ口をたたいている次女の私ですが、家族や、特に年下の弟をとても心配してしまうのです。そうすると「あぁ、自分も多少優しいところがあるなぁ」と改めて気が付きますし、役を通して自分の変なこだわりを発見することもあり、非常に面白いと感じますね。

ーーこれから活動を続けていく上で、俳優として達成したい目標や叶えたい夢はありますか?

自分の出演作を持って海外の映画祭に行き、世界の作り手の方と話してみたいと思っています。

というのも、以前に受けたイランの映画監督アミール・ナデリさんのレッスンがとてもユニークで面白く、その記憶が鮮烈だからです。自分が死ぬ前に演じたい役と作品を聞かれ、また、一番最近、吐いた嘘を告白しなくてはいけないというようなものでした。自分の順番が回ってくるのにヒヤヒヤしましたが(笑)、終始「オリジナリティを大事に」という事を学びました。

それをきっかけに、これからは旅行以外でも海外に出て行って、他の文化の作り手の方々と触れ合いたいな、と思うようになりましたね。

梅宮万紗子
梅宮万紗子

◆幅広い仕事に「興味は尽きません」

ーー9月2日~4日に上演された舞台作品『レプリカントは芝居ができない』に出演されるなど、舞台でも活躍される梅宮さんですが、舞台と、映画やドラマなどの映像のお仕事の違いで特に意識していることはありますか?

特に舞台では、座組の雰囲気や熱量が絶対に伝わるので、キャスト同士では仲良く、コミュニケーションをしっかり取ることを心がけています。

今回の舞台でも、芝居がうまくいかない時が絶対来ると思っていたので、最初の時に私からお茶に誘ったりして親睦を深めていました。普段、仲間と開いている稽古会に誘ったり、必要かわからないけれど、役作りのために一緒に動物園に行ったり。

結局、役作りで動物云々は使いませんでしたが、そんなことも後々、役に立つかもしれません。そして案の定、その後演技でぶつかりましたが(笑)、信頼関係を作っていたので乗り越えられたかな、と思っています。

ーー梅宮さんは、YouTubeでの配信番組『長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル』にアシスタントとしてレギュラー出演されています。こちらは政治、経済、国際関係などの話題を扱っているそうですが、この番組に出演したことで、新しい発見や学びはありましたか?

司会者の長谷川幸洋さんも、レギュラーコメンテーターの高橋洋一さんは、もの凄く頭の良い方で、またゲストの方も様々で刺激的なのです。

3年ほど出演していて、一番心に残っているのは、日本銀行政策委員会審議委員でいらした原田泰さんのお話でした。

原田さんは、組織で孤立しようとも「正しい金融政策はこれだ」と、30年前から当時の日本の政策とは真逆の事を主張されていて、理論の裏付けもできるほど熟知していらしたわけです。今ではネットによって、原田さんの主張する理論が、一般的にも認知されてきたようなのですが、これは凄いことだなと。

優秀かつ私利私欲にとらわれない人が戦ってくれないと、社会は、優秀で私利私欲に走る人たちの関係性やなれ合い、忖度などで間違った方向に行ってしまうのだなと知ったり。

そんな風に、演技とはまた違った分野に触れられるので、興味は尽きませんね。

ーー梅宮さんは茶道が趣味ということですが、 どのような点に楽しさを感じますか?

お茶を点てるときの丁寧な気持ちや心構えなどを学ぶことが新鮮だったのですが、そのうちに、落ち着ける非日常の空間を味わえるのが、悩み事からの救いだったりと、茶道の魅力は様々です。

年上の女性の方から聞ける道具のお茶碗や着物のお話も楽しいですし、私の師事している先生は、図書館の館長をされていたこともあり、博学で何でも教えてくださるので、とても世界が広がります。習っている先生にも恵まれて続いているのかもしれませんね。

◆「ようやく、またスタートしている気持ち」

ーー映画『リ、ライト』では、どのようなところに注目して見てほしいですか?

孤独な人でも、誰かといたら、考えようによっては途端に孤独じゃなくなりますよね。今、立ち止まっているように思えるすべての人たちへ、そうではない人にも、次のステップへの応援歌のような映画になったと思います。

そして私には贅沢すぎるほどのミュージシャンとのライブシーンは歌だけではなくダンスもあり、歌かダンスかどちらかやりたくなるほど気持ちが上がるので是非お楽しみください。

ーー応援してくれるファンの方へ、メッセージをお願いします。

私がこの世界に入ってから随分と経ちましたが、ようやく、またスタートしている気持ちです。ネットで昔の番組で見ていた!などのコメントを見ると、本当に励みになっています。

まだまだ頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。

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