「激しい芝居で、多くの方に元気を」大鶴義丹が語った“誰も観たことのない新しいギリシャ悲劇”上演にかける思いを明かす

2020.11.12 17:00
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大鶴義丹

2020年11月28日(土)から2020年12月13日(日)まで、KAAT神奈川芸術劇場で上演される演劇『オレステスとピュラデス』は、二人の青年の旅路を描く、スリリングで壮大なロードムービー演劇です。

“誰も観たことのない新しいギリシャ悲劇”と銘打たれた本作は、トロイ戦争において、ギリシャ軍の総大将であったアガメムノンの息子オレステス が、太陽神アポロンの信託を受け、姉エレクトラと従兄弟で親友のピュラデスの力を借り、母親殺しを行った後の「失われた」(現存していない)物語を創造します。

出演者には、若手注目株の二人、映像での活躍がめざましい鈴木仁さんがオレステスに、子役時代から映像で活躍して、最近は三谷幸喜作『大地』でも注目された濱田龍臣さんがピュラデスを演じます。

そして、この二人が旅の途中で出会う人々を演じるのが、大鶴義丹さん。俳優のみならず映画脚本・監督と幅広く活躍している大鶴さんは、この作品で複数の役を演じ分けます。

コロナ禍の影響で大きな打撃を受けた演劇界ですが、そんな中上演される事が決定した「オレステスとピュラデス」。今回は、大鶴さんに、舞台への思いや、この状況下での演劇の上演についてのお考えを伺いました。

ーー『オレステスとピュラデス』の上演決定、おめでとうございます。今回「オレステスとピュラデス」の上演が決まったときには、どのような思いを抱かれましたか?
 
個人的な付き合いのある、舞台俳優の仲間たちも沢山いるので、舞台関係者の悲しみは身近に知っています。こうしたコロナ禍において、大きな舞台が復活することは、特別な思いがありますね。  

ーーこの作品への出演を決められたきっかけは何だったのでしょうか?
 
10年近く、(劇団)新宿梁山泊で、新宿花園神社において、アングラ演劇をやっていますが、その出自のパワーをバネに、新しい舞台演劇にも挑戦したいと思いました。

ーー本作では、主人公の二人が旅の途中で出会う複数の人々を演じられるということですが、どんな役を演じられるか教えていただいてもよろしいでしょうか?
 
今回は、「主人公の厳しい父親」「奴隷貿易船の船長」「盗賊の頭領」「悲しい元ギリシャ兵士」「大いなる存在」の五役を演じます。
 
ーー大鶴さんからご覧になって、主演の鈴木仁さん・濱田龍臣さんをはじめ、キャストの方々はどのような印象ですか?
 
今の時代、舞台がテレビドラマ以上に存在感を発揮していて、若い俳優は、舞台経験を積む機会が多く、本当に、舞台演劇が上手だと思います。
私達の世代には考えられない状況で、驚きと同時にワクワクしますね。
 
ーーコロナ禍にあって、稽古をされるにあたっても、これまでとは違うご苦労があるのではないかと思います。現在その真っ最中かとは思いますが、一番大変だなと思うことはなんですか?
 
マスクを着用した稽古ですね。
激しい動きのある舞台では、マスクで運動をするようなもので、呼吸が苦しくなり調子が悪くなる方もいました。

ーーそんな稽古場の雰囲気はどのような感じでしょうか?共演者の方とのエピソードなどあればお聞かせください。
 
和気あいあいと言う稽古の雰囲気は、正直言って私はあまり好きではないのです。
その場は楽しくても、結局結果に結びつかないことが多いです。
そういう意味では、今回の芝居の稽古の雰囲気は、良い意味でとても緊張感のある時間です。

ーー舞台に関わっていらっしゃる間は、なかなかプライベートな時間も取りにくいかと思いますが、その中で大鶴さんのリフレッシュ方法は何でしょうか?
 
帰宅して、いつもより、ちょっと高めの赤ワインを飲むことですね。

ーーこの舞台は特にどんな方に見ていただきたいと思いますか?
 
こういう時代なので、生意気ながら、激しい芝居で、多くの方に元気をあげたいと言うこともありますが、ギリシャ神話って、残酷やエロスがてんこ盛りで、本当に面白いので、それも知ってもらいたいです。
 
ーーこの舞台にかける意気込みを教えてください。
 
舞台に関しては、アングラのテント芝居ばかりだったのですが、そこで養ったものを、正統派の大劇場で試したいと思います。
 
ーー最後にこのインタビューを見てくださった方にメッセージをお願いします。
 
テレビドラマや映画は、出演するのを見るのも大好きなのですが、やはり舞台演劇と言うのは、2000年以上前からあるもので、その原始的なパワーと言うのは映像の演劇では、絶対にたどり着けないものがあり、舞台に足を運んだことのない方にも、ぜひとも来てもらいたいです。

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