話題の青春ムービー『鬼ガール!!』の音楽プロデューサーを務めた、元THE BLUE HEARTSの梶原徹也が、同作品への思いと伝説のバンドについて語る

2020.10.30 17:00
話題の青春ムービー『鬼ガール!!』の音楽プロデューサーを務めた、元THE BLUE HEARTSの梶原徹也が、同作品への思いと伝説のバンドについて語るサムネイル画像
梶原徹也

現在、絶賛公開中の映画『鬼ガール!!』が話題だ。
大阪の秘境・奥河内に残る鬼伝説を下敷きに、青春とロックが弾けるノンストップ・エンタテインメント・ムービーとなっている。

この『鬼ガール!!』の挿入歌として用いられているのが、THE BLUE HEARTSの名曲『TRAIN-TRAIN』。切なくも疾走感あふれるメロディーとサウンドが一度しかない青春を加速させていく。

そして、今作の音楽プロデューサーには元THE BLUE HEARTSのドラマー・梶原徹也さんが、地元・奥河内という縁で参加している。

鬼伝説と伝説のロックバンドのコラボという側面も興味深い『鬼ガール!!』。ただの青春ムービーではない、ほとばしるロックDNAを探るべく、梶原徹也さんに話を訊いた。

――まずは、瀧川元気監督との出会いの経緯から教えてください。
 
梶原徹也さん(以下:梶原):短編映画集『ブルーハーツが聴こえる』の『人にやさしく』を製作して下さった下山天監督とお会いした時に、「今、大阪で頑張っているアツ〜〜い若手監督が、初の長編映画にチャレンジしようとしているのでご紹介させて下さい!」ということがきっかけでした。
 
――実際にお会いした瀧川監督の印象は?
 
梶原:アツかったです(笑)! そしてトークが上手い! 
自分の情熱を秩序立てて人に伝えるのがとても上手く、しかもチョ〜アツかったので、すぐに意気投合しました。
 
――『鬼ガール!!』のどこに魅力を感じましたか?
 
梶原:個人的に一番惹かれたのは、この映画のストーリーが、実際に奥河内に残る「鬼伝説」にインスパイアされて作られていた、ということでした。
 
――音楽プロデューサーとして参加されていますが、この映画におけるご自身の役割を具体的に説明するとどういうものでしたか?
 
梶原:私は作曲については、打楽器曲、リズム曲しかできないんです。
 
ですから、このお話をいただいた時に最初に考えたことは、鬼ガール音楽制作ユニット、つまり、鬼ガールバンドを作ってそのバンドで音楽制作を進めていこう!ということでした。
 
ですので、今まで実際一緒にバンドをやってきた素晴らしいミュージシャンである、鈴木栄治さん(dachambo)、鈴木井咲さん(モミーFUNK)、陽介さん(和太鼓 元・鼓童)に声をかけ、作曲、楽曲提供していただきながら、私は、瀧川監督と密にお話しして、どこにどんな曲が欲しいのか、当てはまるのか、ということを確認、調整していきました。
 
音楽チームと監督のパイプ役が私の大きなお仕事でした。

梶原徹也
梶原徹也

――この映画では音楽が重要な役割を果たしています。どんなことを目指して音楽制作をされましたか?
 
梶原:先ず、私自身が、ほぼバンド人生しか歩んで来なかったので、この映画の音楽はバンドサウンドにしたい!というか、それしかできない!!というのがありました(笑)。
 
しかも、メンバーがロック畑のミュージシャンでしたので、結果的に「鬼ビート」バンドの演奏するロック・ミュージック、バンドサウンド、それが‘’主張する映画音楽‘’になったと思います。
 
さらに、護摩法要のシーンでは、現在、私が自身の活動として大切に取り組んでいる寺社仏閣での「ご奉納演奏」を監督にご提案して、それをうまくストーリーの中にも取り入れていただき、独自の世界が表現できたのではないかと思っています。

――映画におけるキーワードのひとつが「青春」だと思いますが、梶原さんにとって「青春」と言われてまず思い浮かぶことは何でしょうか?
 
梶原:私の青春は、高校時代についていえば、不登校につきます。

高校2年生の時に学校に行けなくなって、不登校を経験します。今、思い出しても、人生で一番ヘビーで辛い時期でした。この時、私にとってロックやドラムが一本の細い命綱で、それに必死にしがみついていました。本当に命がけで、ロックを聴くことだけが、私の命をつないでくれていました。
 
ロックに対する思い入れの強さ、信頼、確信は、この時に心に深く刻み込まれたのだと思います。
その後、高校3年生の文化祭の時に、バンドデビュー、そこから今まで、直結している感覚です。

(c)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会
(c)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会

――挿入歌としてTHE BLUE HEARTSの名曲『TRAIN-TRAIN』が使用されています。実際に映画の中でガールズバンドが同曲を演奏するシーンがありますが、役者の方たちにはどういうアドバイスをされたのでしょうか?
 
梶原:私の中では、ロックは自分が好きでやるもの、やらされてやるものではない、という感覚があるので、いかに若い役者さんたちがロックや楽器を好きになってくれるか、が課題でした。それが映画に対するモチベーションでも良いので、前向きに楽しく取り組んでもらえることができるように心がけました。
 
先ずは、しっかり歌詞を読んで、自分自身でこの楽曲が何を伝えたいのか考えてきてもらい、自分なりにそれを伝えるにはどう表現するか、自身の中から生まれ出た自分なりの表現を大切にしてもらうよう、アドバイスしたつもりです。
 
そして、映画で出てきた「鬼ロック」バンドで音楽スタジオに入って実際に音を出して『TRAIN-TRAIN』を何度も演奏して練習しました。
皆さん、短い期間に本当に頑張ってくれたと思います。
 
――完成した演奏シーンをご覧になった感想は?
 
梶原:涙、涙、涙…本当によくぞここまで頑張ってくれた!!! 大満足です!!!
 
――今でも世代を超えて愛されるTHE BLUE HEARTSというバンドは、今の梶原さんにとってどのような存在ですか?

梶原:それが、本当に不思議な感覚でして…。
不登校の子どもとして、布団の中でしがみつくようにロック、パンクを聴いていた、その数年後にはTHE BLUE HEARTSとして、ステージ上でドラムを叩いて暴れまわっていた…。
さらに、30年以上経っているにも関わらず、まだ多くの方々に聴いていただいている。感謝の気持ちしかありません。
ただ、多くの表現活動は「生きる」ということの本質、エネルギーの爆発を色々な形で現しているのだと思います。
そういう意味では、THE BLUE HEARTSは、正しくそのど真ん中を体現していて、過去も未来もないすべてが「今この瞬間」に存在し、鳴り響いているのだと思います。

(c)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会
(c)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会

――最後に、映画『鬼ガール!!』の梶原さん的見どころを教えてください。
 
梶原:「鬼ビート」チームが作ったバンドサウンド、劇中の「鬼ロック」バンドのパフォーマンス、護摩法要のご奉納演奏、最後の怒涛の連鎖劇…。とにかく、上げていくときりがありませんが、何と言ってもエンドロールが終わり最後の最後まで見終わった後、どのような気持ちになってもらえるかに尽きます。

Text by 谷岡正浩

【映画情報】

映画『鬼ガール!!』
井頭愛海
板垣瑞生 上村海成 桜田ひより 吉田美月喜 曽野舜太
深尾あむ 末次寿樹
テイ龍進 六平直政
山口智充

監督:瀧川元気
原作:中村航「鬼ガール!! ツノは出るけど女優めざしますっ!」(角川つばさ文庫)
脚本:中村航 作道雄 瀧川元気 音楽プロデューサー:梶原徹也

奥河内ムービープロジェクト
制作プロダクション:Studio-884.Pro 配給:SDP
 
公開日:全国順次公開中

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