「SHOWROOMが最後の希望だった」配信者・cocona*が、SHOWROOM社長・前田裕二氏に語った生配信にかける思いとは?

2019.3.1 18:10
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(c)E-TALENTBANK

ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」を中心に活躍するシンガーソングライター・cocona**さんが、2月13日に1st.フルアルバム『cocona**って、だれ?』をリリースしました。

「SHOWROOM」での生配信が評判を呼び、2018年には「SHOWROOM AWARD2018 優秀賞」「2018 トップランカー選出」「SHOWROOM AWARD音楽部門イベント グランプリ」などの称号を手に入れたcocona**さん。

2月9日夜に生配信されたSHOWROOMの番組「猫舌SHOWROOM 一旦、やまだ商店」に出演した彼女は、昨今、テレビや雑誌などのメディアでも活躍中のSHOWROOM株式会社 代表取締役社長・前田裕二さん、やまだひさしさんらと共に、音楽の話、1st.フルアルバム『cocona**って、だれ?』の話、今後の方向性についてなど、たっぷり語り合いました。

今回、E-TALENTBANKでは、番組での初共演を前にした前田さんとcocona**さんに、プラットフォーマー・配信者それぞれの立場から、質問に答えていただきました。

ー早速ですが、今回のcocona**さんの「猫舌SHOWROOM」への出演は、昨年11月に開催された「SHOWROOM AWARDプロモーションイベント」の特典ですよね?

前田裕二さん(以下:前田):はい。SHOWROOM発でメジャーに出ていくような子たちをたくさん作ろう!という動きの中で、SHOWROOMで一際頑張っている方たちとか、本当にSHOWROOM愛を感じるなぁという方々の努力の方向性をきちんと適正化したい、しっかりプロデュースしていきたいという思いがあるんですね。その対象の筆頭がcocona**さん、というわけです。

ーなるほど。その頑張りを経て、実際に今日番組出演することになりましたが、今の気持ちはどうですか?

cocona**さん(以下:cocona**):前田社長とこうして並んでいるのが、SHOWROOMを始めた頃の自分だと想像出来ないことで…。

前田:え!なんで!?(笑)

cocona**:いや、そうなんです(笑) 私、アマチュア枠で最初始めていたので。(編集部註:「SHOWROOM 」にはアマチュアとオフィシャルアカウントの2種類のアカウントに分類されます。オフィシャルアカウントは、SHOWROOMと契約したオーガナイザーからのみ発行することが可能。)

前田:そっか。確かに、僕もこうやってSHOWROOMの演者の方とこうやって横に並んで喋るってそんなに沢山あるわけではない。なので、cocona**さんは本当にここまで頑張ってきて、その結果としてここに座っているんだろうなって思います。

cocona**さんは、音楽活動をしていた中で、SHOWROOMを活動の場として選んだきっかけはなんだったんでしょうか?

cocona**:その当時、ライブに足を運んでくれるファンの方が、とても少なかったんですよ。それで「どうやったらファンが増えるんだろうなぁ」って考えていた時に、たまたま“「SHOWROOM」っていうのを使って審査をします”というオーディションを見つけたんです。その時に、これをやったらオーディションにも参加出来るし、新しいファンの方との出会いにもなるかなって思ったのがきっかけです。

前田:最初に参加したイベントってなんだったんだっけ?

cocona**:2014年11月の「SHOWROOM×sonymusicオーディション」ですね。

前田:4年前か。それから基本的には、休まないでやってるの?

cocona**:少し休んだことがありました。最初、ネットの配信はきっとそこまで世の中に影響とか反響がないんだろうなっていう印象があって、軽い気持ちで始めたんですよ。だけど、実際は賛否が生まれることも多いし、自分を叩く人が出てきたりした時に「こんなに見られてるんだ」って実感して怖くなってしまって。その時は、半年くらい配信を止めていましたね。

前田:そうなんだ。

cocona**さん:はい。でも、やっぱりSHOWROOMで音楽をやりたいって気持ちはあったので、叩かれたりすることを乗り越えるにはどうしたらいいんだろうって考えたんです。その時に、一つ大きな目標を作って、それに向かって生配信をやってみようと。これを達成できなかったらやめよう、ただ、出来たらもっと頑張ろうって思いました。その時の目標は、小さい会場ながらも、初めてのワンマンライブの成功でした。それを目標に、毎日生配信をして、ファンの人が増えていって…。最終的にはチケット完売できたんです。

前田:それはすごい!

cocona**:ありがとうございます!それが達成出来たので「ああ、この先もうちょっとSHOWROOMで頑張ってみようかな」って思えて、今に至ります。

 

1日22時間の生配信も経験したと語るcocona*さん
1日22時間の生配信も経験したと語るcocona*さん

ーそんな歴史があったんですね。前田さんがcocona**さんの事を知ったのはいつ頃でしたか?

前田:3年前くらいかな…?

cocona**:え!そんなに前ですか!?

前田:正確には、2年半前くらいかな。結構初めて間もない頃だと思う。「すごい勢いある子がいる」って報告を何回か受けてたよ。

cocona**:でも実は、最初の方は他の方に比べてファンの方がいなかったんですよ。だから、イベントとかに出ても、自分が勝てる方法は、長時間配信するしかないと思いました。他の人だったら1日1~2時間で配信が終わるところを、その倍以上。倍以上っていうか、1日22時間とか生配信をやってました。

前田:すごい!22時間!?(笑)

cocona**:大体、1日20~22時間を2週間とか10日間のイベント中、毎日です。

前田:えっ。それってほとんど寝ないってこと!?

cocona**:そうです。寝るのも、テーブルに伏せて寝るんです。

前田:ちょっと待って、それはさすがに半端ない…(笑)

cocona**:すぐ起きられるように、アラームを腕と首の間に挟んで、腕を枕にして寝るんですよ。

前田:それで、起きて、顔洗ったり、ご飯食べたりっていうのは配信しながらやるの?

cocona**:それはやりませんでした。変なプライドがあって、ご飯は配信中に食べない、メイクもちゃんとしてから人前に出る、ラジオ(声だけの配信)を体調悪いとき以外はやらない、絶対顔を出すっていう決まりを自分で作ってました。ただ、全く寝ないのはさすがに無理なので、1時間くらい寝て、後の1時間でご飯とお風呂、その他は配信という毎日を過ごしていた時期がありました。

前田:すごいね…すごすぎる。衝撃。

(一同笑)

cocona**:それが、前田社長が知ってくれた時期ぐらいかもしれないです。

前田:だって、いつでもSHOWROOMにいるからつい見ちゃうよね。しかも、コメントや名前を呼ぶなどのコミュニケーションに終始するのではなくて、ちゃんとパフォーマンスだったり、コンテンツを見せることを意識している。マイク置いて配信をしていたイメージがすごくある。そんなプロ意識が裏側にあったとは、cocona**さんが人気の理由が分かりました。すごくシンプルだね。それ、皆知ってるの?

cocona**:知ってる人もいるとは思います。でも、自分が「これだけやってます!」っていうのをあんまり前面に出したくないタイプなので、その当時から見てる人でも知らない人もいるかもしれません。寝なくても「あ。大丈夫、大丈夫」って言ったりとか、すごい高熱だったりしても、絶対素振りは見せないし、言わないっていうポリシーもありました。

前田:すごいな。Twitterとかで「つら、ちょっと風邪引いたかも」とかって弱音吐かないの?(笑)

cocona**:絶対に言わないです!

前田:偉いなぁ。スタンスが一貫としていて、素晴らしい。

cocona**:変なプライドですね(笑) あと、形から入りたいっていうのもありました。配信中のバックは部屋の様子が見えてた方が親近感があっていいんだろうなとは思ったんですけど、それよりもカッコよくありたくて。撮影用の布を買って、部屋の後ろを隠して、スタジオ風に仕立てて、マイクをあえて画面に入れたりしてましたね。

前田:自分のモチベーションの高さや負けん気が、他の人に比べて強いなっていう認識はある?

cocona**:うーん。いえ、あんまり他の人の事を考えないっていうか…。

前田:そうか。もう、ずば抜けてるね。とにかく「自分」を強く持っているんだね。1時間寝て、1時間風呂・ご飯で、机で寝て起きてって。そんな努力の仕方聞いたことないよ…。

cocona**:その時は、もうここしかない!って思ったんですよ。私は、元々、レコード会社直営のボイトレのスクールに通ってたんですけど、そこには、歌が上手い子も、可愛い子もいくらでもいて。歌を上手になろうと思って練習しても、スタート地点が違うから、他の人が進んでいくのと同じ速度で進んでいっても追いつけないんです。その上、追いつくだけじゃダメで、追い越さなきゃいけないしって考えたら、自分が戦うフィールドはここじゃないのかもしれないって思って。SHOWROOMは、自分が戦える場所でやらないと意味がないなって思って見つけた最後の希望だったんですよ。

前田:そっか。確かにそのスクールで一番歌が上手い人になったとしても、そこにファンがついてとか、必ずしもチャンスが来るわけではないよね。埋もれてしまうから、常に差別化していかなきゃいけない。だから、それは正しい戦略だよね。

プラットフォーマーとしての立場から配信者への思いを語ってくれた前田裕二氏
プラットフォーマーとしての立場から配信者への思いを語ってくれた前田裕二氏

ー今の一連のお話ともつながると思うのですが、お二人はSHOWROOMを活動の場とすることのメリットってなんだと思っていますか?

前田:それは演者のフェーズによって違ってくるかなと思います。まだファンがそんなにいない段階だと、そこで新しくファンになり得る人たちに見てもらえて、0から1のファンがついていくっていうのが大きなメリット。一方で、すでに偶像的な遠い場所にいる方の場合は、あまりにも遠過ぎてキラキラしているだけだとファンの熱量を高めたり維持したりしにくい。だから時々SHOWROOMやインターネットというファンの近くに来て、エンゲージメントを引き上げる、というような使い方もありますよね。なので、今、自分がどのステージにいるかによって、置くべき目的や感じるメリットは変わってくるかなと思います。

cocona**:SHOWROOMは嘘をつかなくていい場所なんですよね。ネットって人の道を外れなければ自分でいられるというか。だから、そこで嘘のないものを発信できるっていうのが、自分の中ではとても居心地がいいんです。普段と同じ姿で人前に立つことを受け入れてもらえる世界であるっていうのは、私にとってのメリットですね。

ーそれは、SHOWROOMという場所がcocona**さんに合っていたということなんでしょうか?

cocona**:私、嘘がつけないんですよ。顔に出ちゃうし、多分それこそ彼氏とか出来たらすぐバレちゃうだろうし(笑) でも、それを面白いとか、受け入れてくれる人が一定数いてくれるのが、ネットの生配信の場所なのかなって思っていて。猫を被れないような私みたいなタイプだったら、居心地は良いんじゃないかと思いますね。

ー前田さんはcocona**さんの仰ることをどう感じますか?

前田:視聴者側からの視点でも、ライブ配信やSNSとかって、嘘をつくのが難しい場所になっていると思っていますね。なぜかっていうと、視聴者側から見て、嘘ついてる人とそうじゃない人ってパッと見分かるんですよ。特に生配信は伝わりやすい。

インターネットという嘘が伝わりやすい場所において、誠実でいられる人が人気になりやすくなってるなというのは、本当に感じています。先ほどのcocona**さんの1日に22時間生配信みたいなエピソードしかり、そういう絶対負けないぞ、という気持ちや、ファンへの強く深い想いがそのまま伝わる場所をベースにするのが、彼女には向いてるんじゃないかな。

ただ、これからはそこをベースにしながら、違うメディアにもどんどん出て行く時期なんだろうと思いますね。

cocona**さんは、SHOWROOMとかインターネットの世界だけではなく、テレビなどまた別のチャンネルで露出を増やして、もっと沢山の、別の層の人たちに魅力を知ってもらわなくてはならない。きっと、そういった次のフェーズに入ったんだと思います。だから、これまでのルールとはまた違う、新しいチャンネルにおけるルールを見極めて、努力の方向を変えていくっていうのが、これからの1~2年なんだろうなって思ってます。

ーありがとうございます。最後に、cocona**さんのこれからの目標は何ですか?

cocona**:2月13日に『cocona**って、だれ?』がリリースになります。SHOWROOM RECORDSから出るのですが、知らない方にも興味を持ってもらいたくてタイトルをつけました。“cocona**って、だれ?”って文字にされていたら「え?誰?」って興味持ってもらえるかなって。

前田:なるほど。これ、自分で考えたの?

cocona**:そうです!CDの帯にも「SHOWROOM」ってロゴが入っていたり。これは、視覚から「SHOWROOM」と「cocona**」を一つで認識してもらえるようにと思ってそうしました。CDが売れない時代と言われていますが、このCDを名刺代わりじゃないですけど、いろんな人に手に取ってもらって認知を上げていきたいという思いが強いですね。

SHOWROOMという名前が世間に浸透してきている今「cocona**も『SHOWROOM』で一から積み上げて出てきたんです」ってことを広めて、SHOWROOM以外の場所にいる人にも色々発信していけるようになりたいなと思っています。

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