小沢健二、Apple Musicオリジナルコンテンツ第三弾「青髪のオザケンが三浦大知とゲリラライブ」が遂に公開
全曲ニューヨークとマイアミで録音&ミックスされ、都会的でミステリアスな異色作として話題を呼んだ2002年発売の4thアルバム「Eclectic」がついに配信される。
ヒップホップやR&Bのテクニックを再構築し、独自の作品世界に昇華させたタイムレスな名作。その唯一無二性を「オザケンの『Eclectic』っていうワン・ジャンル」と評したceroによってカバーされた『1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)』のオリジナルをはじめ、透明感のある楽曲が並ぶ。2000年代初期に構築されたその深度のあるグルーブは、むしろ今2018年の音楽シーンに通ずるかもしれない。そして、満島ひかり、峯田和伸(銀杏BOYZ)と迎えてきたエピソードが大好評のApple Musicオリジナルコンテンツ『Tokyo, Music & Us 2017-2018』第三弾も10月9日より解禁される。
今回のエピソード3では、三浦大知が登場。先日ネットで「青髪のオザケンが三浦大知と銀座でゲリラライブやってる!」とバズっていたのは、実はこの番組の収録。青い髪でピンクのギターを持った小沢と、最上級の歌とダンスで知られる三浦との、茶目っ気のある会話と音楽の全貌が、遂に公開される。エピソード1の東京湾に浮かぶ屋形船を改装したゴージャスなセット、エピソード2の下北沢の小さなスナックに続き、エピソード3の収録場所は東京を代表する交差点銀座4丁目に面した、NISSANのショールームであるNISSAN CROSSING。銀座中央通りの夜景とハロウィーンをテーマにしたセットにも注目したい。
セッション楽曲はアルバム「Eclectic」から、都会の夜の空気の香る『麝香』、そして昨年発表したシングル「フクロウの声が聞こえる」より、ハロウィーンを舞台にした楽曲『シナモン(都市と家庭)』。今回初めて、楽曲が2曲演奏されるのも見所の一つとなっている。
【小沢健二のコメント】
エクレクティックについて 『Eclectic』は「ビート」という技術を試してみたアルバムです。 「ビート」という言葉を、僕は2000年頃のNYシティで聞くようになりました。「あのビートはアツい」「今ビート作ってる」。その「ビート」は、日本語で「トラック」とも言うと思います。8小節位のループで、ドラムがあって、その上で音が入ったり消えたりする、例のあれです。街じゅうで鳴っていたあの音楽様式への関心から、『Eclectic』は生まれました。だから何よりも音楽技術的で、それ以前の『LIFE』とか最近の『流動体について』とかとは、出自が違います。
『Eclectic』の頃、歌詞についても気がつくことがありました。それは、ブラックミュージック、特にソウル・R&Bの場合、歌詞を意図的に軽く、薄くしていることが多い、ということです。これは社会的にも、音楽的にも、よく考えたら当たり前のことなのに、盲点だったりします。ともあれ『Eclectic』の歌詞は、僕の他の歌詞に比べると意図的に薄くて、軽くて、ぼんやりしていて、シンプルなリフレインが多いと思います。 だから、最近の『フクロウの声が聞こえる』とか『アルペジオ』みたいな音楽とは対極にあるのかもしれませんが、でも、やっぱり『Eclectic』への探求がなかったら、僕の最近のやつはないのです。静かな夜に、聴いてみてください。
Tokyo, Music & Us #3について 第3回は最上級の歌とダンスが眩しい三浦大知くんと、銀座4丁目からです。ショーウインドーの中で演奏しているので、音は外に全く聞こえない中、収録を見守ってくださった多くのみなさん、ありがとうございました。大知くんはとてもかしこく、鋭くて、対話でも演奏でも、気持ち良いの一言でした。今回は彼の声で聞きたい曲を僕が2曲選んでお願いしたのですが、大人っぽくも茶目っ気のある音に仕上がったと思います。ギターは子ども用のミニ・ストラトを弾きました。リズムボックスは1994年から使っているローランドの名機TR-808の実機を、なんとFunkboxという携帯アプリで動かしています。これができるのは、ヤマハの小さなBluetooth MIDIドングルでiPhoneからMIDI信号を808に送っているからで、レトロ複製のお手軽アプリが本物を動かしている、意外性が好きです。
番組をよく見ると、808からの音を僕がペダルでオン・オフしている様子もわかると思います。Apple Musicにて、お楽しみください。(あ、ストリーミングは音楽ファンにとって辞書みたいなもので、持ってると便利です、よ。)
2018年、東京 小沢健二