「自分をさらけだして強くなった」伊藤千晃、結婚&出産を経て変わった心境、今後の抱負を語る【インタビュー】
■妊娠中でも、とてもリラックスして挑んだ撮影
——今回の写真集は妊娠初期から臨月の間に撮影されたそうですね。撮影中は大変だったのではないですか?
伊藤:基本的につわりもあまりなく、また撮影の日は非常に体調が良い日が多かったんですよ。長時間の撮影でも順調に進んだので、お腹の子に「ありがとう」という思いでいっぱいでしたね。
今回の写真集では素顔を一番表現したいと思っていました。だから、普段は表情や仕草を一つ一つ考えて撮影に挑むんですが、今回はあえて何も考えなかったんです。とても自由に、リラックスして好きなようにやらせてもらいましたね。もちろんポージングの提案もありましたが、妊娠中でできるポーズも限られていたので、その辺はカメラマンさんと模索しながら撮影していきました。
——撮影以外の日はどんな過ごし方を?
伊藤:規則的で健康的に過ごしていました。朝早起きをして朝ごはんを作って、散歩に出かけ、その足でスーパーに行く、といった生活をしていました。今まではどうしても時間が全く読めない生活だったので、妊娠を機に一日の流れやルーティーンを自分で作って過ごせたのは新鮮ですごく楽しかったですね。
■素顔、弱さを見せられるのが“本当の強さ”
——写真集発売に際して、前々から表紙の素顔の写真が話題になっていました。
伊藤:今回の写真中では素顔を見せたかったと言いましたが、やっぱり素顔を見せるって怖いことですよね。正直なところ、撮影中も「これが世の中に出ていくのか…」と、受け入れてもらえるかわからない不安を持っていました。今までは、きちんとメイクして作り上げた“アーティストとしての伊藤千晃”だったのでこんなに自分の本心に近い部分を出してしまっていいのかなと。
でもファンの方たちがすごく喜んでくれて、写真集の発売も「待ってました!」という反響があったので、その声を聞けてやっと安心しましたね。自分をさらけだしたからこそ新たに応援してもらいたい気持ちも込めていたので、そこは本当に良かったと思います。
——エッセイでは、10代の頃を「若いなー」と振り返っていらっしゃいます。10代、20代を経て30代の現在、どんなところにご自身の成長を感じていますか?
伊藤:10代、20代前半はもう、怖いもの知らずで「失敗してもいいや!」といろいろな物事にぶつかっていったんですが、20代後半からはきちんと考えて行動するようになったと思います。当然のことではあるんですけど、大人になったなと実感するところですね。
でもそれはある意味で、大人になって弱くもなった部分でもある。だから、この写真集では素顔をさらけ出していますが、それは私の弱さでもあるんです。でも弱さを認められる本当の強さというか、自分の嫌いな所や人には見せたくなく部分も自分で受け入れて「これも私なんだ」と認めてあげることができた写真集ですね。
■出産を経て変わった、家族との向き合い方
——写真集では、伊藤さんのお母様からのメッセージも掲載されています。ご自身の出産を経て、お母様との関係に変化はありましたか?
伊藤:変わりましたね。初めて母親と子どもじゃない関係で話ができたんですよ。私は三姉妹の末っ子なので、「ちいちゃんは何もできないから」「ちいちゃんは可愛いね」と、すごく甘やかされて育ちました。でも出産後は母が対等な目線で話してくれるようになった。
私自身も母に甘えてばかりだったのに、自分の意見を主張して、同じように母に意見を求めていて。すごく対等な位置にいるんだなと感じています。母も私のことを「一人の母親」だと、見てくれるようになったように感じてすごく嬉しかったです。
——現在、子育て真っ只中だと思いますが、幸せなこと、大変なことは?
伊藤:一生懸命に母乳を飲んでくれる表情やお風呂に入れた時のビックリした顔など、本当に日々幸せを感じていますね。最近は笑うようになってきたので、その笑顔もとてつもなく愛おしい。その笑顔は辛さや大変さも全部吹き飛ばしてくれています。こんなに自分以外のために生きている瞬間が楽しいと思えることがあるなんてビックリです。
ありがたいことに今のところはすごく大変で辛いと感じることはないんですよね。体力には自信があるので、それが大きいのかもしれないです。
■「これが伊藤千晃です」というメイクを自分で作っていく
——これまでと今後のお仕事への向き合い方の変化があったら教えてください。
伊藤:今まではまずは自分を作り上げて、その姿を人に見せていました。テーマを作ってそれを発信する形。でもこれからは、プライベートで生活している基盤があって、そこから見えてくる伊藤千晃が仕事に繋がっていくと思っています。作られた私ではなく素顔の私が皆さんの前に出ていく。だから、より自分のプライベート、生き方、子育てを大事にしていきたいですね。
——家族が増えたことで、人とのつながりについても考え方が変わりましたか?
伊藤:そうですね。これまでは言い争いが苦手で、自分の意見を言うことを避けてきました。でもやっぱりちゃんと言わなきゃダメなんだなと気付きました。自分の気持ちを素直に言わないと子どもには見透かされるし、必要な意見のぶつかり合いは逃げちゃいけない。必要な衝突は避けずにちゃんと向き合っていきたい。そこに一人の人間としての責任がある感じがしますね。
——以前からメイクのお仕事を精力的にされています。結婚、出産されてご自身のメイク観に変化があったら教えてください。
伊藤:以前はお仕事の中でプロのヘアメイクさんがキレイに作り上げてくれていたんですけど、今はとにかくプライベートの基盤を作らなければいけない。だから、「これが伊藤千晃です」と自己紹介になるメイクを自分で作る必要があるんですよね。その思い方やスタイルが以前とは全然違います。
また見られ方や気持ちも変わりましたね。以前は自分のためだけにメイクをしていましたが、出産を経て“この子のママ”と見られるのであれば、子どものためにも生き生きとしたキレイなママでいたいと思うようになりました。だから前とは違って、毎朝メイクをしてから一日が始まります。メイクは女性としてのスイッチが入るので、ママになったからこそ大事にしていきたいですね。
■同じ悩みを持つ女性と、一緒に輝いていきたい
——今後、やってみたいお仕事はありますか?
伊藤:やっぱりメイクやスキンケアのことですね。30代になって、昔は気にならなかったスキンケアの悩みが出てきてしまって。でもスキンケアの悩みって、自分と正面から向き合えているからだと思うんです。隠して嫌なところに気付かないでいるよりも、素顔を受け入れる時間を大事にする。そして私と同じような悩みを抱える女性たちと、一緒に解決して、一緒に輝いていけるようなお仕事をやっていきたいですね。
——最後に、写真集のみどころや読者の方へのメッセージをお願いします。
伊藤:まずは、この写真集を待っていてくれて本当にありがとうございますということを伝えたいです。そしてこれからは一人の女性として、皆さんと一緒に幸せな時間、空間を作っていくつもりです。そんな新しい伊藤千晃を応援してください。
——ありがとうございました!