BAND-MAIDの魅力は2.5次元的“再現”ではなくオリジナルな表現力
8月19、20日に開催されたフェス「SUMMER SONIC」を体感して、バンドの優劣を分けるものは最適な表現を自覚しているか否かにつきると感じさせられた。その面から語るとBAND-MAIDは非常に優れている。音楽性、歌詞、ルックス、すべてがコンセプトに合致しているから、観るものも聴くものも、安心して彼女たちの世界観に浸ることができるのだ。
「メイドでバンド」と言われれば、誰もが最初はイロモノだと思う。実際イロモノなのかもしれない。だが彼女たちは2016年3月にアメリカ・シアトルにて開催されたイベント「Sakura-Con」で3,000人もの観客を動員した。それが呼び水になってか、同年6月にイギリスのレーベルとも契約。世界8カ国9箇所でツアーを行い、計7,000人の前で“お給仕”している。
“お給仕”つまりライブにおいて重要なのは、録音物では感じることのできない経験を提供すること。BAND-MAIDのもうひとつの魅力に挙げられるのが、このライブである。彼女たちの楽曲は非常に精密に作られたバンドサウンドだ。新曲「Daydreaming」は叙情的なギターとメロディが美しいラブソングだが、ボーカルのメロディは複雑な音程で構成されていて、ハーモニーは難解。リズム隊もグルーヴィで、バンドのダイナミズムを牽引している。並の実力では演奏できないナンバーだが、彼女たちはそれをやってのける。
メイドという世界観を支える方法は演奏力だけではない。音楽は添え物として捉えて、衣装やキャラのみにこだわる方法もある。だが彼女たちはそれをせず、あえて難しい表現に挑戦している。グループの世界観を質の高い生演奏で表現すれば、オケを使ったアイドルたちより表現の説得力が強くなるからだ。また「メイド」という設定がある分、普通のロックバンドよりエンターテインメントの度合いが格段に高まる。
BAND-MAIDはフェスやイベントへの出演数を着実に増やしているが、これはバンドとしての実力の高さによるところが大きい。マンガ的な世界観を2.5次元的に“再現”するのではなく、高いレベルでオリジナルの表現をしているのがBAND-MAIDだ。9月24日からは、全国10カ所にて開催する全国ツアー「お給仕TOUR Autumn-Winter 2017『燃えるの?萌えないの?どっちなの!?』」がスタートするので、是非一度“お給仕”を体験してみることをおすすめしたい。
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