山猿、自己流の“嘘がない”音楽制作を語る「これを作ろうって作った曲が1曲もないんです」

2022.12.9 17:00

地元福島を愛し、全国に『愛』を発信し続けるアーティスト・山猿さんが、11月22日にニューアルバム『あいことば9』をリリースされました。

本作は、各配信サイトにてランクインした「お月様が笑わない」を含む全12タイトル中11曲が新曲と、その比率はあいことばシリーズ史上最多。フィーチャリングアーティストに、以前から交流のある新潟県出身のグループ・Rafveryや、同じ福島が地元の新星アーティスト・PoPoRoを迎え、バラードからHIP HOPまでジャンルにとらわれない作品に仕上がっています。

また、「大切に作り上げた楽曲を実際に手に取って聴いてほしい」との想いから、ストリーミングや配信は行わず、 あえてレコードを彷彿させる紙ジャケットを使用するなど、随所に山猿さんのこだわりが込められている一枚でもある『あいことば9』。

今回は、山猿さんにそんなアルバムの制作秘話を語っていただきました。

ーーアルバムの全体のテーマは最初から決まっていましたか?それとも作り上げて行くうちに決まったのでしょうか?
 
山猿:テーマは出来上がっていくうちに形になっていきました。

山猿の音楽は普段生活してて思った事、感じた事をそのまま日記の様にリリックにして書いているので、今まで作ってきた全曲そうなのですが、これを作ろうって作った曲が1曲もないんです(笑)。

だから嘘がないというか馬鹿正直というか。普通だったらここのメロは次のキーと被るからやめようとか、この言葉や言い回しは次の2aで使うから取っておこうとかあると思うんですけど、僕は全くないんです。

フリースタイルじゃないんですが、思った事をそのまま何も加工せず曲にしていくのが僕のやり方で。制作段階でメロディーと言葉が一緒に出てきたものをレコーディングするんです。なので、音楽を聴いてくれた人達にそれがそのままダイレクトに伝わってくれていれば嬉しいなと思ってます。
 
ーー本作のリード曲『最後の愛のうた~』は1曲目となりました。“最後”とつくこの曲から始まるのに驚いたファンの方も多いのではないでしょうか。
 
山猿:この曲を作った時のことはすごく覚えています。
秋のすごく夜風が気持ちいい夜で、お風呂上がりに近所をお散歩してたんですよ。

その時に見たお月様がすごく綺麗でした。

そうしたら、ふと父が、僕の小さい頃に言った言葉が脳裏をよぎったんですよ。「男の子は女の子にはちゃんと優しくしてあげなさい。好きな子ならなおさら守ってあげなさい」って。今はその父は天国へ行ってしまったんですが、なぜかその時の言葉を思い出して…。

そして思ったんです。自分が50年後生きていたら何してんのかな?って。今、そばにいてくれる家族、友達、周りの大切な人達にちゃんとありがとうって伝えられてるかな?って。

人間はすごく恥ずかしがり屋だから、毎日ちゃんと伝えている様で大切な人達にありがとうって相手の目を見て伝えられてないなって思ってこの曲ができました。生きてるだけなのにため息をついちゃうこんな世の中で、この曲を聴いてくれた人達が誰かに愛されて誰かを愛してくれたらいいなと思います。
 
ーー『あいことば9』のジャケットには、今までの『あいことば』シリーズと『えんむすび』のジャケットが散りばめられるという、集大成のようなデザインになっています。今回はどうしてこのようなデザインにされようと思ったのか伺えますか?
 
山猿:実は2年前くらいに自分のアパレルブランド(BLACK×BOX)と(WHITE×BOX)という2つのブランドを立ち上げたんです。

昔から服が好きだったんですが、小さい頃、実は家がめちゃくちゃ貧乏で。大人になって自分の着たい服、自分達がデザインした好きな服を着たいなと思ったのが、アパレルブランドを立ち上げた理由です。いつか大人になって秘密基地を作るのも夢で、それが実現したので、今回のアルバムではそのお店(BLACK×BOX)の内観をそのまま絵にしてジャケットにしました。

ファンのみんなが誰でも遊びに来られる、僕にとっても大切な場所なので、今回のアルバム『あいことば9』はまさに山猿の全てが詰まった集大成の様な作品になったのかなと思っています。

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