7人体制の私立恵比寿中学、注目のツアー初日で天国の松野莉奈に語りかける。「…泣かないで言えましたー!莉奈―言えたよー!!!」
2月8日にメンバー松野莉奈(出席番号9番)の急逝という不幸に直面し、7人での活動が余儀なくされた彼女たちの新たな本格的始動と言うこともあり、いやがおうにも注目が集まる中でのツアー初日となった。
今月1日、急遽発表された4th full Album『エビクラシー』のリリース。今回のツアーは、そのタイトルの由来でもある「大正デモクラシー」の自由で民主化の進んだ“大正時代”の校舎の講堂が舞台。温かみのある木の質感で作られたどこか懐かしく、また大正浪漫が感じられるバラや格子柄があしらわれたセットがステージ上に組まれた。
いつものチャイムに続き、お馴染のSE「ebiture」が会場に鳴り響く。オープニングのInterlude(行進曲)にあわせて緞帳の幕が上がると、ステージ中央の踊り場には“私立恵比寿中学”の校旗を手にした真山りか(出席番号3番)がリズムに合わせて校旗をたなびかせる。続いて残るメンバーも、講堂の階段を上手、下手に分かれて下りてくる。女子学生の象徴でもある制服が日本で生まれたと言われる、やはり大正時代の制服をモチーフとした衣装に身を包んだ彼女たちは、セットと相まって時代をタイムスリップしたかのよう。
1曲目は、この日初パフォーマンスとなる新曲「制服”報連相″ファンク」。最初のMCで安本彩花(出席番号5番)が「魅力あふれる楽曲がたくさん詰まった『エビクラシー』。今日はどんな曲が聞けるんでしょうか」の予告通り、この日、メンバーは多彩な新曲の数々を次々と披露していくこととなる。新たなフォーメーション、歌い分けによる代表曲を織り交ぜ、ニューアルバム収録の全10曲を余すことなくファミリー(エビ中ファンの総称)に届けた。10曲のうち7曲で各メンバー1名をフィーチャーしたという試みには、今までの自分たちをupdateせんとする気概を感じさせ、子供のままではいられない少し大人びたエビ中と、”永遠に中学生“な遊び心を忘れない彼女たちが同居した不思議な空間を創出していた。
本編20曲を終え、新学期に相応しいスタートを切れたことをファミリーに感謝しながら、メインMCの安本は、「今回こうしてツアーの初日を一緒に迎えられなかったメンバーがいます。でも私は形が全てではないと思っていて、多分今も空の上で見守っていてくれてたと思うし、(松野)莉奈が。もしかしたらさっきも一緒に歌って踊ってたかもしれない。フォーメーション間違えてあたふたしてたかもしれない(笑)。アルバムだったら、多分『春の嵐』とか好きかも知れない。あのめっちゃクールビューティーな顔で楽しそうに踊ってたと思うんだよね。そんな莉奈の思いもこもったアルバム『エビクラシー』、本当に自信作で私たちも1曲1曲欠かせない曲たちばかりで本当に大好きです。やっぱりこの7人じゃ物足りないと思う人もいると思うし、エビ中の曲も辛くて聞けないよと思う方もたくさんいるかもしれないけど、ツアーファイナルではみんなで『エビクラシー』のことについて、“この曲楽しいね”って、ファミリーのみんなも話せるように『エビクラシー』を好きになってもらえたら嬉しいです。そして、時間はかかると思うんですよ。たくさん時間がかかっても良いんですけど、7人のエビ中を好きになてほしいです。…泣かないで言えましたー!莉奈―言えたよー!!!」と天国の莉奈に語りかける姿が印象的だった。
アンコールはこの日3曲。全23曲約2時間半にわたる熱演は、メンバー同士の絆、そしてメンバーとファミリーとの絆を再確認させるエンターテイメントショウとして、約1900名の観客を大いに盛り上げ、同時に彼女たちの変わらぬ元気な姿にファミリーは大いに安堵することとなった。
ツアーはこの後、7月16日(土)東京国際フォーラムのファイナル公演まで約3カ月にわたって行われる。
Photo by 中島たくみ