「AKBで鍛えられた」川栄李奈が語る、これまでの女優としての軌跡と自然体でいることの強さ【インタビュー】
――AKB48を卒業されてからのこの二年間の中での活躍は目覚ましいものがありますよね。ご自身ではこの二年間をどう捉えていらっしゃいますか?
AKBを卒業した時にすでに舞台が決まっていたんです。卒業前も含めて三ヶ月くらいずっと稽古をして、卒業してすぐに舞台出演となったので、割とAKBの卒業と女優業のスタートのハッキリした境目はありませんでした。幸せなことに、その後も立て続けにお仕事をいただいて今に至っていて。当初から「とにかくコツコツ頑張ろう」と、一つ一つの作品と向き合ってきたので、自分の中では割と忙しくさせていただいてきた感じはありますね。でも、常に「一年で消える」と思っているんですよ(笑)。
――そうなんですか!? どうしてそう思うんですか?
だって私、消えそうじゃないですか?(笑) AKBは一つの大きな軍団だったので、軍団としてのお仕事でした。でも女優さんは個人なので、「使われる/使われない」がすごくハッキリする。だから、「私なんてどうせ、すぐ仕事がなくなるんだろうな~」なんて思っていました。
――それでも、卒業してすぐ出演した舞台「AZUMI」でいきなり高評価でしたよね。
川栄:そうですね。殺陣をやらせてもらったことで、演技だけでなくアクションも褒めてもらうことが多かったですね。その後も映画でアクションをやらせてもらって、活躍の場が凄く広がった作品でした。でも、周りからの評価ってあまり考えないようにしているんです。私のことを嫌いな人もいれば好いてくれる人もいるのは当然。人間なので、人それぞれじゃないですか。それに、批判はAKB時代で慣れたっていうのはありますね。あの時に精神が鍛えられたことで、今のお仕事でも自分なりの強さを持って臨めている気がします。
――AKBの活動で学んだことも今に活かされている、と。これまでたくさんの作品に出演されてきましたが、川栄さんの中でターニングポイントになった作品はありますか?
やっぱり朝ドラ「とと姉ちゃん」ですね。それまでは同年代の方とお芝居する機会が多かったんですけど、「とと姉ちゃん」では年代が全く異なる役者さんとお芝居ができて、たくさんのことを学ばせてもらいました。長い期間一緒にいたので、本当の家族のような雰囲気でとても楽しかったです。
――どんなことが勉強になりました?
あの時は、監督からも共演者さんからも「あなたの好きなようにやったら」という感じで意外と自由にやらせてもらえたんです。その中でも、家族を演じさせてもらった秋野暢子さんとピエール瀧さんはとにかくアドリブがすごく多くて。アドリブの大事さや、現場での良い雰囲気作りとか、いろいろなことを学ばせてもらいましたね。
――今回のドラマでは、新里今宵というエロ可愛くて、ちょっと同性からは嫌われそうな役ですよね。なかなかの強烈キャラですが、役作りはどうされていますか?
あんまりしていないですね。台本と原作を読んで、雰囲気を掴むくらいで、特別な役作りとかはしないです。普段も同じように、自分の中でイメージを作って撮影に臨んでいます。
――撮影中も特に考えずに、自然な感じで?
作品によっては、もちろんありますよ。明るい元ヤンを演じた「フランケンシュタインの恋」では、「明るくしてください」と演出されていたので、テンションに気を付けていました。私、普段明るくないので頑張りました(笑)。今回は、「とろそうな、ふわっとした女の子」と言われています。私は喋り方がハキハキしている方なのでなかなか難しいですね。それでも、「ああ、高校にこういう、人よりワンテンポ遅れて、女の子に嫌われるような喋り方の子いたな~」みたいな感じで、イメージを作っていっています。
――なるほど。経験を活かしている部分もあるんですね。その他にプライベートで、お仕事のために勉強していることや吸収していることもあるんですか?
全然ないですね~。映画やDVDを見るのは好きなので、そこで何かを得ているのかもしれないんですけど、仕事のために特別に何かをするということはないです。仕事とプライベートはハッキリ分けているので、現場でスイッチを入れて、家に帰る時には「はい、仕事モード終わり!」っていう感じ。
――ちなみにお休みの日は何をされているんですか?
最近はずっと寝ていますね。休みの日に寝ているだけでストレスも発散されますし、疲れも取れます。あとは犬を飼っているので、犬と遊んだりとか。あんまり外に出ないですね。そもそも友達があんまりいないので…(笑)。
――そうなんですか!?(笑) インドアっていうのは、なんだか意外です。
もちろん遊ぶ日は遊びますよ! でも友達に積極的に誘えない性格です。仲の良いAKBのメンバーを誘っても、忙しくて断られることが多々あるんですよ。だから休みの日はだいたいインドアですね。それに街中を歩いたとしても、声を全然かけられないんですよ。オーラが消えているというか、オーラがもともとないのかな(笑)。
――オーラがないというよりも、すごく自然体ですよね。それは作品を観ていても思います。物語にすごく上手に溶け込んでいる感じがして。
ありがとうございます。私自身がすごく地味なこともあって、ちょうど良く作品の中に居られているのかなと思います。「リアルにこんな子いるよね」という感じとか親近感を覚えてもらうのは、一見個性じゃないように見えて私ならではの個性なのかもしれないです。
――今回の今宵役では、その個性はどう発揮されていますか?
いや~、今回は全く地味じゃないし、今までに全然やったことがない役なので気合い入れて頑張っていますよ。今宵はエロ可愛いっていうより、もう完全にエロなんで(笑)。衣装もほとんど下着で胸を常に出しているし、原作超えレベルの露出です。キスシーンもたくさんあるので、そこで世の中の中高生になんとか引っかかって欲しいなと思いながら演じています!(笑) でも、こういう役をやる機会はあんまりないんで、とても有難いですね。
――では特に苦手意識も持たず、楽しんで演じていらっしゃる?
いえ、めちゃめちゃこういう役は苦手です! 苦手ではあるんですけど、現場に来ると「もうなんでもアリだ~!」って思えるので思いっきり演じられています。現場は男の子が多いので、余計に気合いが入りますね。「負けずに今宵としてのキャラをどんどん出していかないと!」という感じ。私の衣装の露出を盛り上げてくれたりそれぞれのキャラが濃かったりと、とにかく皆が皆、盛り上がって演技しているので楽しい現場ですね。
――同世代の共演者さんが多いですよね。仲の良い方や撮影中のエピソードがあれば。
葉山奨之くんは共演が多いので、割と良く喋っていますね。会うと二人で、「おう!」「おう!」みたいに挨拶交わしたりして、学校の同級生みたいな感じです。間宮祥太朗くんとのベッドシーンが面白かったですね。私が上になった時に間宮くんを押しちゃってベッドの横にあった溝に間宮くんがスポって入っちゃったんです! 窪田さんがすごく一生懸命セリフを言っているシーンだったので、二人で笑いを堪えるのがすごく大変でした。結局取り直しをすることになって、すごく申し訳なかったです(笑)。
――早くそのベッドシーンが見たくなりました! お話は変わるんですが、憧れや目標の女優さんはいらっしゃいますか?
ずっと満島ひかりさんに憧れています。満島さんもFolder5の活動の後、女優をされていますよね。私は最初、そのことを知らなかったんです。「この人、お芝居上手だな」と思って見ていた中で、過去の活動を初めて知りました。そういう、キャリアとしての道のりにすごく憧れます。私自身、今はどうしても「元AKB」と言われていますが、今の若い子が大人になった時に、「川栄李奈っていう女優、昔はAKBだったんだ!」って後から気付かれるくらいの存在になりたい。そういう未来のために、頑張って女優としての個性を出していけたら良いなって思っています。
――これからやってみたい役や出てみたい作品はありますか?
ホラーがすごく好きなので、ホラー作品には出たいですね。あと、今はテンションが高い女の子の役を演じることが多いんですけど、少し闇を抱えていたり性格が暗かったりする女の子の役はやってみたいんですね。そっちの方が自分に近いので等身大ですし、自分の良さも活かせるんじゃないかなって。
――なるほど。今後の益々のご活躍に期待しています! 最後にドラマの見どころや川栄さんの役どころについて一言、お願いします。
今回のドラマは台本を読んだ時点で、めちゃくちゃ面白いなと思った作品です。でも台本以上に映像ではすごいことになっています。私自身も、出演者の皆さんのテンションやキャラを撮影中に体験して、早くドラマ本編を見るのが楽しみです。今宵という子は、最初は批判もあるのかもしれないんですけど、徐々に「実は良い子だな」と思ってもらえる女の子です。お芝居を頑張っています。今宵含めて、個性豊かなキャラを是非楽しみにしていてください。
――ありがとうございました!