30歳目前の有村架純、あっという間の20代を振り返り「とてもありがたい10年間でした」
同作は、月刊漫画誌『Eleganceイブ』(秋田書店刊)で2013年から2018年にわたって第1部が連載された漫画『ちひろさん』が原作。元風俗嬢の主人公“ちひろ”が、とある海辺の町の小さなお弁当屋さんで働きながら心に傷や悩みを抱えて上手く生きることができない人々と交流する人間ドラマで、有村が常識にとらわれない言動で女性を中心とした読者に強く支持される“ちひろ”を演じる。
エメラルドグリーンのワンピース姿で登壇した有村は、同作のオファーを受けた後に原作を読み「ちひろさんの世界観が大好きになりました」と振り返った。
これまでのイメージを覆す役柄については「自分が演じるとなるとすごくハードルが高いな」と思ったそう。ただ、今泉監督をはじめとする制作サイドの思いに共鳴し、社会に対して生きづらいと思っている女性たちに「同じ女性として(この作品を)ぜひ届けたい」と感じたことを明かした。「その役目が担えるならすごく光栄だなと思ってお話を受けさせて頂きました」とちひろ役に挑戦した理由を語った。
役作りについて尋ねられると、主人公のちひろは自身とは「かけ離れているキャラクター」といい、「そこのギャップをどういうふうにすれば埋められるかということは、大きな課題でした」と述懐。「正直自分が100パーセントちひろさんに近づくことができたかと言われると、私はまったくそこの手応えみたいなものがなくて、今でも正解が分からない」「ちひろさんという女性像は本当に掴みどころがなく、『ちひろ』と(名前で)呼ぶことが最後までできなかった役でした。役と自分とのその距離感が初めてで私も『これでいいのだろうか』と思ったのですが、きっとちひろさんはちひろさんのままなのだろうなと、どれだけ自分と長く一緒に過ごしたとしても、きっと『ちひろさん』と呼び続けるようなそういう距離感なのだろうなと最後まで演じながら思っていました」と続けた。
ちひろは孤独を愛する感じもある女性というが、「私は孤独ということに対して決してネガティブに思っていなくて」とコメント。孤独というと「寂しい人」などと思われがちではあるものの、「1人の時間を愛せるってすごく幸せなことだと思います。だから、孤独ということに対してポジティブに捉えられる方々が増えたらいいなと思っています、ちひろさんに出会って」と想いを言葉にした。
有村は2月13日に30歳の誕生日を迎える。舞台挨拶ではサプライズで花束が贈呈された。有村は「早く30代を迎えたいという気持ちがあったので、“ようやく”という気持ちと、あとは、振り返るとこの10年本当にあっという間だったなと。ものすごいスピードで色んな景色を見ることができたなと、とてもありがたい10年間でした。もう戻ってこない20代に思いを馳せながら30代を迎えられたらなと思います」と笑顔。
30代になってチャレンジしたいことについては、「より質の良い作品を届けるために、みなさんとディスカッションしながら作品を届けられたらいいなと思っています。柔軟な心も持って」と語った。
舞台挨拶の最後、有村は「私もちひろさんのように孤独を愛せる女性になれるように30代を進んでいけたらいいなと思います。自分の時間も、みなさん、大切にしてあげてください」などとメッセージを送った。