ジミー・ペイジ、クラシックロックアワードで最初から演奏する予定はなかった?イギリス側からのコメント届く

2016.11.14 21:11

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2005年に英国でスタートした発祥した祭典で、その年に活躍したアーティストを表彰し、受賞者がライヴを披露するロック界最高峰のアワード、第12回『THE CLASSIC ROCK AWARDS 2016 + LIVE PERFORMANCE / クラシックロックアワード2016 + ライヴ・パフォーマンス』が11月11日(金)、東京・両国国技館で開催された。

オープニングで衣装と鬘を付けた姿で口上した歌舞伎俳優の尾上松也、そしてメガデスの異端児、デイヴ・ムステインという異色のコンビが司会進行を務めた。この日、打ち合わせでムステインは誰よりも熱心にメモを取り、司会業に意欲を見せていたという。本番でその司会ぶりはワイルドなライヴの時と違い、3ピースのスーツを着込み、至って真面目に任務をこなしていた。だが、国内で授賞式のようなイベントを開催する場合は、同時通訳によるアナウンスでも導入しない限り、ムステインが「楽しんでいるかい?」と観客に問いかけても何の歓声も湧かず、訳されるまでの間にタイムラグがあり、少々盛り上がりに欠けていた空気は否めなかった。

当初から公表されていた出演者通り、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、チープ・トリック、デフ・レパードのジョー・エリオット、フィル・コリン、リッチー・サンボラ、オリアンティ、タイの国民的バンド、スロットマシーン、フィリピンの国民的アーティスト、サラ・ヘロニモとロック・シンガーのバンブー。そしてジェフ・ベック スペシャルバンドと題して、ギターとベースにストーン・テンプル・パイロッツのディーン・ディレオとロバート・ディレオ兄弟、アリス・クーパー・バンド、ハリウッド・ヴァンパイアーズのギター、トミー・ヘンリクセン、そしてドラムにはコーンのレイ・ルジアーが揃った。また、イーグルスのジョー・ウォルシュ、メタリカのカーク・ハメットの出演が直前になってキャンセルされた代わりに、本番数日前に続々と大物の参加も急遽発表となり、俳優になる以前からミュージシャンとしてローカルバンドで活動していたジョニー・デップや、エアロスミスのジョー・ペリー、X JAPANのYOSHIKI、バンド-メイド、テスラのジェフ・キース、ブライアン・ウィート、フランク・ハノン、スコーピオンズのルドルフ・シェンカーの名前が加わった。

開演前に行われたレッドカーペット・セレモニーではテレビ局や新聞社のマスコミ報道陣が集まり、カクテルパーティー会場では協賛企業や芸能人までもが大物アーティストの登場を待ち構えていた。ジョニー・デップはジョー・ペリーと共に登場し、ジミー・ペイジの姿も現したが、最後までこのエリアにはジェフ・ベックだけ足を運ぶことはなかった。

授賞式のそれぞれの受賞者は以下の通り。
Best New Band:ザ・ストラッツ
Japan Next Generation:バンド-メイド
Eastern Breakthrough Male Band:ONE OK ROCK
Best Asian Performer:サラ・ヘロニモ
The Showmen:チープ・トリック
Classic Songwriter:リッチー・サンボラ。
Album of The Year:デフ・レパード。
Reissue Of The Year:クイーンの『The Studio Collection 』
Band Of The Year:ELO
The Asian Icon:X JAPAN YOSHIKI
The Icon:ジェフ・ベック

この夜、会場にいた殆どの観客が待ちに待っていたのはライヴ・パフォーマンスであろう。チープ・トリック、サラ・ヘロニモ、バンブー、スロットマシーン、バンド-メイド、YOSHIKIと受賞者のステージが続き、そしてお待ちかねの一夜限りのスーパージャムセッションが始まった。フィル・コリンがディープ・パープルの「Mistreated」やストーン・テンプル・パイロッツの「Interstate Love Song」、ジェフ・キースがスコーピオンズの「Rock You Like A Hurricane」を歌う、というな普段なかなか目にすることができない組み合わせで進行し、「Hysteria」「Dancing Days」と続く頃には会場もヒートアップして活気づいてきた。セッションにも加わったムステインが再び司会者として「ケンタッキー生まれ、フロリダ育ち、そして昼間の仕事もやっている、この人です」とジョニー・デップを迎え入れる。

来日以来、「毎日12~14時間もリハーサルが続き、沢山の曲を覚えるのに大変だ」と言っていたハリウッド・ヴァンパイアーズのギター、トミー・ヘンリクセンがセッションの中心人物となり、ストーン・テンプル・パイロッツの「Sex Type Things」を歌いあげ、ジョニー・デップもソングライターとしてクレジットされているグラミー賞でも披露したハリウッド・ヴァンパイアーズの「Bad I Am」、「ボス(アリス・クーパー)は居ないけど・・・」とトミーが切り出し、アリス・クーパーとピンク・フロイドのマッシュアップで「School’s Out~Another Brick In The Wall (Part II)」、ジョー・ペリーが加わり「Sweet Emotion」でヴォルテージが上がり、再びステージに戻ってきたチープ・トリックのリック・ニールセンとロビン・ザンダーとでザ・ビートルズの「Come Together」や、ジェフ・キースのヴォーカルでルドルフ、ジョー、ジョニー、トミーの4人編成ギターによる、ヤードバーズとエアロスミスを結びつけるクラシックナンバー「Train Kept A Rollin’」でハイライトとなった。

そして全員一度ステージ裏に引っ込むと、いよいよ栄誉ある「アイコン賞」を受賞したジェフ・ベックにトロフィーを授与する為に、ジミー・ペイジが登場。おそらく観客の多くがジェフ・ベックとの共演を期待していたはずだが、プレゼンターとして2分ほどの祝辞とトロフィーを渡したらステージを去っていった。そのままベックの演奏が始まり、「Beck’s Bolero」、フィル・コリンがヴォーカルの「Superstition」、ジェフ・キースが歌うGoing Down」と続き、この後にジミーがギターを持って登場し、クライマックスを迎えるのではないだろうか?と待ち望んでいた人の期待があったはずだ。だが、授賞式とライヴ・パフォーマンスを合わせ、4時間に及ぶ長丁場の幕はここで閉じた。

その晩、会場では納得のいかない観客から深夜まで主催者側へ抗議していたという報道も出て、一体何が起きているのか詳しく調べてみるとネットにはジミーが演奏しなかったことは「詐欺行為」「過大広告」だと不満の声が多く上がっていた。そこで筆者はこのアワードの共同企画を行っている、英国に本拠地を置くロック・メディア、チームロック社の最高経営者ビリー・アンダーソン氏と面識があった為、翌日に直接尋ねてみたところ「I hadn’t heard about any complaints but Jimmy was always appearing never playing, I’m not sure where any mix up occurred. As for Joe, again, was never singing, just collecting the award which both scenarios are the norm in our awards over the last 12 years(苦情は何も聞いていませんが、ジミーはいつも参加してくれている際に演奏をしたことはありません。どうのようにそのような混乱が起きたのか定かではありません。またジョー(エリオット)も歌ったことはありません。賞を受けるだけというのも過去12年間、我々のアワードでは普通のシナリオです)」という回答が得られた。

今回のオフィシャルページには“ジミーがジェフと共演”するような誤解を生む表現があった為、日本サイドからはどんな説明があるか敢えてこの記事を出すのを月曜まで待ってみたところ、主催者であるKLab Emtertaimentの公式サイトでジミーが演奏しなかったのは「本人の意向として」と謝罪し、その理由を本人サイドに確認を入れている発表があった。

先程の回答と日本サイドの表現と明らかにズレを感じるが、事前の契約があった筈であろうからどんな認識の違いだというものか疑問は残る。出演者が急にキャンセルになることはよくありがちだが、「本日は本人の意向によりジミー・ペイジの演奏はありません」と会場でアナウンスしたとして、大きな騒動になったかもしれない。チケットが高額だったから不満の声が出たのは理解できるが、詐欺行為に当たるのか、返金をすべきことなのか判断は難しい。主催者側は返金に応じられないと表明しているが、納得がいかないジミーのファンに対して後味が悪いまま終わってしまうのは残念である。それにしてもこれだけのロックミュージシャンが一夜にして日本に集まった事実は、色んな意味で間違いなく歴史的な一ページが刻まれたのではないだろうか。

(取材&撮影 Keiko “Ginger” Suzuki)

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