「ラップとお笑いはめっちゃ近い」新EP「真っ向勝負」リリースのKEN THE 390にインタビュー

2016.2.12 17:12

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2016年にデビュー10周年を迎えるKEN THE 390が、2月10日に新EP「真っ向勝負」をリリースした。

この作品はミニアルバムとは言え、全12曲のボリュームでお届けする新作である。話題のTV番組「フリースタイルダンジョン」で共に審査員を務める晋平太や、UMB2015優勝で注目を集めるCHICO CARLITO、さらに高校生ラップ選手権でもその実力を発揮するLick-Gなど、盛り上がりを見せるMCバトルシーンで活躍するMCに加えて、JAZEE MINOR、TAKUMA THE GREATなど、豪華客演陣が集結した。

この新EPのリリースに当たって、KEN THE 390にインタビューを敢行。現在に至るまでのキャリアや、現在出演中のTV番組「フリースタイルダンジョン」、そして新EPのことまで、幅広く語ってもらった。

ーー音楽活動のスタートはいつだったんですか?

中学に入った頃からバンドをやっていて、中学校ではギター、高校ではベースでした。高校に入ったくらいで、バンドなんだけどボーカルはラップしてるようなバンドのカバーをやり出して。そういう中で、もうちょっと前に出たいんだけど、でも、「どうやら俺はあんまり歌が上手いわけじゃないらしいぞ」って言うのも分かってて(笑)。

そんな時に、ミクスチャーのボーカルのラップなんかを聞いたつながりで、HIP HOPも聞いてみたんですね。そうすると、バンドの歌だと無理だけど、ラップって手法でHIP HOPをやれば、俺は前に出れるんじゃないかと思って。で、その当時高校で1人HIP HOPをやってる奴が居たので「俺もやりたいんだけどラップ教えてくれない?」って始めたのが、高校2年の終わりくらいです。それから、高校生何組かでライブハウスを借りて、同級生がみんなバンドやってる中で、ラップをやってましたね。

ーーそこからどうやってキャリアを積んでいったんでしょう?

最初のリリースは、高校時代から、大分飛んで、大学5年の時です。EI-ONE、はなびと3人のラッパーで作ったグループ「りんご」でのもの。ソロでずっとやってたんですが、まだ一人で出すには早いからとりあえずみんなで一枚出そうみたいなノリで作ったグループでした。

大学の就職活動は、3年生から始めたんですが、3年の頃ってまだCDリリースしたこともなくて。だから特に深く考えずに「就職するんだろう、だって全然食えてないし」と思っていました。別にライブでギャラももらわないし、ラップでお金を稼ぐって感覚が全くなかったんで。だから、もちろんラップは続けていきたいけど、続けていくためには、仕事はしなきゃいけないよな、当たり前で、という感覚でしたね。

ところが、就職活動が上手くいって、内定をもらって就職するはずだったんですが、留年して卒業出来なかったんですよ。で、その留年していた1年で、りんごでのリリースがあったり、MCバトルで勝って少し名前が売れ始めたりとかいうのが起き始めました。でももう一回留年で迷惑かけてるところに、これで行きませんとも言えず、結局そのまま就職しました。社会人とラッパーの両立は3年弱くらいですね。不動産売買の情報誌の編集部にいました。社会人時代は、平日は働いて、週末はラッパーとして活動していました。社会人の時に3枚アルバムを出してますね。

ーーキャリアを積み今や日本を代表するラッパーの1人となったKEN THE 390。ガチのMCバトルを繰り広げることで、現在人気のテレビ番組「フリースタイルダンジョン」に審査員として出演していますよね?

「フリースタイルダンジョン」に出演する経緯は「そういう番組があるらしいよ」って噂は聞いてたんですけど「俺はあんまり関係ないだろうな」と思っていたら、ジブさん(Zeebra)のスタッフの方からオファーのメールが来たことです。その時は、ラップの審査員が仕事になる時代が来たのかと思いましたよ。審査員に決まった後でジブさんに言われたのが、経験者だし、KENはいろんなところでアナウンスする力があるから、それぞれのカラーが違うってところで、やって欲しかったと。

ーー番組でのジャッジのポイントはどこに置いているんですか?

難しいんですが、MCバトルは、あくまで会話するゲームなんで、やっぱり会話をしているかどうかが大きいですね。会話としてうまく返してるかって、すごい堅い韻を踏むとか、めちゃくちゃ上手いことを言うとか、全部大事なんだけど、あくまで相手とのやり取りの中でそれが出てきてるのか、別に誰が相手でもいつでも言えちゃうことなのかが違うかなって思うんですね。やっぱりその場に一番適した言葉を出してる人は評価するし、めちゃくちゃ堅い韻を踏んでても、あまり評価しないと言うか。やっぱりフリースタイルバトルというからには、その場で生まれたり、引き出しから出した言葉を聞きたいですよね。そうじゃなかったら、ライブとか曲でいいので。

審査員はジャッジする人なんだけど、テレビ的には説明してあげる人というか。今のバトルの何がすごいのかとか。テレビの番組だから、全然知らない人が見てるじゃないですか。そうなった時に、皆なんとなくどっちがすごいとか判断出来てると思うんですけど、それをもうちょっと言葉で、これはなんでこっちの方が優れてたとか基準をちゃんと提示してあげるというか、それが繰り返されるとレベルが上がっていったりするのかなと。

ーー曲とフリースタイルバトルでのラップの違いがわからない人も多いと思うのですが。

前に芸人さんが話しているのを聞いたのですが、芸人さんのネタとフリートークが、ラップで言う曲とバトルなのかなと。芸人さんのフリートークってネタじゃないけど、ネタなんですよね。あれって即興でフリーでやってるっぽいけど、実は自分の中で面白い話をみんな持っていて、その場に適した自分のすべらない話を出してきてる訳じゃないですか。それがバトルと同じだと思ってて、やっぱりその相手との中でいろんな自分の持ってるものを全てうまく吐き出していくというか。且つ、その場で思いついたものとかがエッセンスで入ってきて、っていうのがバトル。曲とかライブっていうのは逆に構築していって、ずっと考えて磨いてブラッシュアップしていくものだから、全然性質が違うというか。

ラップとお笑いとはめっちゃ近いと思いますね。話芸ですし。アメリカのラッパーとか見ると日本でいう芸人さんに近いなとか思うんですよね。日本の芸人さんって収入自慢とか、女の子ネタとかガンガン話すじゃないですか。それって向こうのラッパーの感じなんですよね。それでみんなが憧れちゃうというか。自慢することでみんなが目指し始めて人口が増えていくというか。でも、HIPHOPとか自慢してってそこが逆に自分のブランディングに繋がっていくような感じのカルチャーなんで、そこが芸人さんと精神性が近いというか。芸人さんには、HIPHOPが好きな人も多いですよね。

ーー長くなりましたが、本題へ。今度リリースされる新EP「真っ向勝負」はどんな経緯で制作されたんですか?

別の案でミニアルバムくらいのを2月くらいに出そうかなと思って制作してたんですが、すごく煮詰まってて。そんな時にアルバムにしようとは思わずに作っていた(本アルバムのタイトル曲である)「真っ向勝負」のアイディアが一気にまとまったんです。そこで、客演を軸にミニアルバムの制作を考えてみたら、元々客演軸でアルバムを作りたいという思いもあった上に「Make Some Noise feat. ZORN,NORIKIYO」が既に曲としてあったので、2ヶ月くらいで形になりました。それまで3ヶ月くら別の案のミニアルバムを作ってて、なかなか自分の納得いくクオリティが出来ずに苦しんでた分がここに一気に吐き出されたんですよね。客演軸で考えたら、結構テーマもトラックも一気にハマって、1ヶ月で4曲くらい制作しました。客演軸にしたのは、やりたいと思ってたアイディアがずっと溜まってたんで、今まで蓄えてたアイデアをここで一気にやっちゃおうみたいな感覚です。

ーーアルバム全体を通して「前のめり」な印象を受けるのですが。

基本的に今は年に1、2回しかラップバトルに出ないんですけど、このアルバムの制作期間だった年末にそれがあって。そうなると、気持ち的に準備をしなきゃいけなくて、このアルバムを作ってる辺りにちょうどバトルモードになってたから。だからちょっと前のめりな曲が多いかもしれません。「Nobody Knows feat. Lick-G」とかはバトルも意識して書いてますね。攻撃的な内容ではないんですけど、結構赤裸々というか。

自分がバトルに出る前にやる作業は、何言われるかをひたすら考えることなんです。なんて返すかではないですけど、漠然と、こう言われた時にこう返したら、俺も納得出来るし、お客さんも沸くだろうな、と。このアルバムの制作期間はちょうどそういう時期だったんですよ 笑。今の自分を客観視してみて、俺が若手で、KEN THE 390が来たら、どうやってえげつなくディスろうかなみたいな笑。こういうこと言ったら嫌がるだろうなっていうのを自分で考えるんです。そして、うーん嫌だなぁと思って、考えて、それを一個一個返していく言葉を考えていくというか。それが「Nobody Knows feat. Lick-G」には一番強く入ってるし、他の曲にも影響してるんだと思います。これ辛いから本当はあんまりやりたくないんですけどね 笑。

ーー最後にメッセージを。

今年、僕はデビューから10周年なんです。だから、今までの流れを踏まえたような活動をしたいなと思ってます。10年目のキャリアのスタートのファーストアルバムをもうちょっと今もう一回見直して、ライブでやっていくっていう作業もしながらする振り返りとか。且つ、10年の集大成的なアルバムを出せるように頑張る一年なので、いつも以上に活動量が多いと思いますね。ワンマンライブも数増えてるんで。年末に向けてわらしべ長者みたいに(会場が)大きくなっていくようにはなってますね。特に今、間違いないメンバーで相当豪華にやらせてもらえてるんで、ライブが相当面白くなってると思いますよ。

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