岡田准一『関ヶ原』と大野智『忍びの国』、この夏どちらを観る? 映画をさらに楽しむために「関ヶ原の戦い」と「天正伊賀の乱」を予習【コラム】

(C)2008 和田 竜 /新潮社 (C)2017 映画「忍びの国」製作委員会

2017.6.30 19:47

岡田准一『関ヶ原』と大野智『忍びの国』、この夏どちらを観る? 映画をさらに楽しむために「関ヶ原の戦い」と「天正伊賀の乱」を予習【コラム】サムネイル画像

夏休みの楽しみと言えば、映画を挙げる人も多いのでは。この夏も、話題の新作が続々と公開される。

そんな中、嵐・大野智主演の「忍びの国」(7月1日公開)と、V6・岡田准一主演の「関ヶ原」(8月26日公開)をピックアップして、注目のポイントと作品を楽しむための予備知識をご紹介したい。

両作はどちらも戦国時代を取り上げており、「忍びの国」は織田信長が健在の頃、「関ヶ原」は豊臣秀吉の死後に徳川家康と石田三成が激突した頃の話となっている。

まずは、「忍びの国」から紹介したい。

●天正伊賀の乱を描く「忍びの国」

忍びの国」は、伊賀国でおきた「天正伊賀の乱」という戦いを描いている。

「伊賀国(いがのくに)」は、古代から明治初期まで用いられた地方行政区分の令制国のひとつで、現在の三重県西部にあたる。戦国時代、伊賀国では、室町幕府の守護勢力を追い出した地侍たちが土塁と呼ばれる土製の堤防状の壁を備えた屋敷を次々と建て、独特の風土が生まれた。これが忍者の発生へと繋がったとも言われている。

 

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「お国」を演じる石原さとみ【(C)2008 和田 竜 /新潮社 (C)2017 映画「忍びの国」製作委員会】

天正伊賀の乱は、その伊賀国に、天下統一への野望を燃やす織田軍が2度に渡って攻め入り、伊賀国を制圧した戦いのこと。

天正7年(1579年)の戦いでは、隣国伊勢国を掌握した信長の次男・信雄(のぶかつ)が、独断で約1万の兵を率いて伊賀国に侵攻するも、伊賀衆の手痛い反撃を受けて伊勢国へ敗走。信長は激怒し、天正9年(1581年)に、再び信雄を総大将にして約4〜5万の兵で伊賀国に侵攻した。

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「日置大膳」を演じる伊勢谷友介【(C)2008 和田 竜 /新潮社 (C)2017 映画「忍びの国」製作委員会】

和田竜による原作小説では、伊賀では、地侍たちが普段は畑を耕す農民を下人として、忍の術を叩き込んでいた。伊賀者は金で雇われれば誰でも殺し、下人が傷ついて帰ってきても「使えぬなら殺せ。飯代が浮くわ」と命じるような場所。

映画の公式サイトを見ても、「伊賀に棲むのは人を人とも思わぬ人でなしの忍者衆」と記されている。大野智が演じる忍者「無門(むもん)」は、そんな“人でなし”の忍者のひとり。“どんな堅牢な門でも彼の前では意味をなさない”と言われるほどの凄腕の持ち主だが、人間としての心を徹底的に失っていた。そんな無門が人間としてどう成長していくのかにも注目すると、映画をさらに楽しめるかもしれない。

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「北畠具教」を演じる國村隼【(C)2008 和田 竜 /新潮社 (C)2017 映画「忍びの国」製作委員会】

●「関ヶ原」は人間ドラマに注目!?

続いて「関ヶ原」。

関ヶ原の戦いは、天正伊賀の乱の約20年後となる慶長5年(西暦1600年)に起きた天下分け目の一戦。徳川家康を総大将とする東軍と石田三成を中心とする西軍が激突し、両軍合わせて20万近い兵力が集結した。

司馬遼太郎による原作小説によると、陣取りだけを見れば、7万5千の東軍を、10万の西軍が取り囲んでおり、どう見ても西軍が圧倒的に有利だった。しかし、小早川秀秋が東軍に寝返り、勝敗を決した。

歴史ドラマでは、石田三成をどう描くのかという点が1つの見所になることがある。昨年の大河ドラマ「真田丸」を観た方なら、不器用ながらも身を粉にして豊臣家を守り続けた石田三成(山本耕史)の姿が記憶に残っているのでは。映画では、岡田准一がその石田三成をどう演じるのかに注目だ。

また、「関ヶ原」には、初芽有村架純)という伊賀の忍者が登場する。石田家に“犬(スパイ)”として仕えるうちに三成の純粋さに引かれていく。もしかしたら、「忍びの国」で織田軍の焼き討ちが描かれた際、逃げ惑う伊賀衆の中に幼子がいたら、ちょうど、初芽くらいの年齢になるのかもしれない。

「関ヶ原」の予告編では「史上最大の戦いに懸ける武将たちの知られざる想い」とうたわれている。「関ヶ原」では戦いに参加した武将たちのドラマにも期待が高まるが、徳川家臣の井伊直政も登場するので、今年の大河ドラマ「直虎」ファンは必見だろう。

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映画『関ヶ原』メインビジュアル【(C)2017 「関ヶ原」製作委員会】

忍びの国」も、「関ヶ原」も、見逃すことができない作品といえよう。今年の夏はぜひ、映画館で戦国ドラマを楽しんでみてはいかがだろうか。


 

映画情報

【忍びの国】

▼あらすじ

戦国最強・織田信長が決して攻めなかった国がひとつだけあった

時は戦国。魔王・織田信長は諸国を次々と攻め落とし、天下統一に向けひた走っていた。しかし、その信長でさえ攻め入ることができなかった、たったひとつの国。それが伊賀。そこに棲むのは人を人とも思わぬ人でなしの忍者衆だった。そんな忍者のひとり、神出鬼没の無門は、彼の前ではどんな堅牢な門も意味をなさない、と称されるほどの伊賀一の凄腕だが、普段は無類の怠け者で、女房のお国の尻に敷かれる日々を送っていた。

ところがある日、ついに織田軍が伊賀討伐の兵を挙げる。

最強織田軍 対 伊賀忍び軍

圧倒的な戦力で伊賀に攻め込む織田の軍勢。伊賀は武力・兵力では到底かなうはずもない。しかし、無門率いる忍びの軍団は誰も想像できない秘策を用意して織田軍に抗戦するのだった!

なぜ、最強にして大軍の織田は戦国大名もいない小国・伊賀を攻略することができなかったのか?

歴史に秘められたその謎と時代に翻弄される無門とお国の夫婦愛が史実「天正伊賀の乱」(1578-79年)を背景に、ダイナミックに描き出される。

巨大なスケール、ド派手な合戦アクションと智謀策略の限りを尽くす、誰も見たことがない戦国エンターテインメント超大作が今夏、誕生する。

 

▼スタッフ

原作:和田 竜『忍びの国』(新潮文庫刊)
脚本:和田 竜
監督:中村義洋

 

▼キャスト

大野 智 石原さとみ
鈴木亮平 知念侑李 マキタスポーツ 平祐奈
満島真之介 でんでん きたろう/立川談春 國村隼
伊勢谷友介

映画『忍びの国』公式サイト


 

【関ヶ原】

▼ストーリー

関ヶ原の戦い――

それは、戦乱の世に終止符を打ち、後の日本の在りようを決定づけた。

幼くして豊臣秀吉(滝藤賢一)に才を認められ、秀吉の小姓となった石田三成(岡田准一)。成長し大名にとりたてられた三成は自分の石高の半分をもって、猛将として名を馳せた牢人・島左近(平岳大)を家来に乞う。秀吉に忠誠を誓いながらも、利害によって天下を治めることに疑問を感じ正義で世の中を変えようとする三成の姿に、左近は「天下悉く利に走るとき、ひとり逆しまに走るのは男として面白い」と配下に入る。伊賀の忍び・初芽(有村架純)も、“犬”として三成に仕えることになる。

秀吉の体調が思わしくない。天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)は、秀吉の不興を買う小早川秀秋(東出昌大)や他の秀吉恩顧の武将たちに、言葉巧みに取り入っていく。三成は、そんな家康が気にくわない。

1598年8月、秀吉逝去。翌1599年閏3月、大老・前田利家(西岡德馬)も亡くなると、先の朝鮮出兵時から三成に恨みを持つ福島正則、加藤清正ら秀吉子飼いの七人党が、三成の屋敷を襲撃する。三成は家康の屋敷に逃げ込み難を逃れるが、このことで佐和山城に蟄居。家康の影響力が増していく。

1600年6月、家康が上杉討伐に向かう。上杉家家臣・直江兼続(松山ケンイチ)と家康の挟み撃ちを図っていた三成は、盟友・大谷刑部らを引き込み、毛利輝元を総大将に立て挙兵。三成の西軍、家康の東軍が、覇権をかけて動き出す。

1600年9月15日。決戦の地は関ヶ原。三成は、いかにして家康と世紀の合戦を戦うのか? そして、命を懸けて三成を守る初芽との、密やかな“愛”の行方は……。

権謀渦巻く中、「愛」と「正義」を貫き通す“純粋すぎる武将”三成と野望に燃える家康の戦いが今、幕を開ける!!

 

▼スタッフ

原作:司馬遼太郎「関ヶ原」(新潮文庫刊)
監督・脚本:原田眞人

▼キャスト

岡田准一 有村架純/役所広司

映画「関ヶ原」公式サイト